「女性の執念と怖さ」プロミシング・ヤング・ウーマン bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
女性の執念と怖さ
王様のブランチで、極上のサスペンス映画ということで、紹介されていたので、鑑賞予定の作品ではなかったが、鑑賞。主人公・キャシーが、亡き友の復讐の為に、孤軍奮闘し男達を手玉にしていく、女性としての執念と怖さを描いた作品で、なかなかよく練られた展開であった。
ストーリーは、大学の医学部時代の友達・ニーナが、パーティーの席で酔った勢いで、仲間の男達に輪姦されたのを苦に亡くなったのが始まり。その事件のトラウマを抱えるキャシーが、ニーナの死を巡り、彼女を死に追い込んだ医学部の仲間を、一人一人炙り出して、追い詰め、制裁を加えていくお話。
決して、血しぶき飛び散るような凄惨な復讐劇ではなく、ジワジワと首の根を締め付けるように、精神的に追い込んでいく手法に、却って男達は、追い詰められる息苦しさや恐怖の心理を、見事に描いている。
また、恋人のライアンによって、少しずつそのトラウマから解放されていたキャシーが、一人の女性として生気を取り戻していくものの、最後に待ち受けている結末は、あまりに悲劇的。しかし、その執念に、スカッとするのも事実。
監督が女性のエメラルド・フェネルで、あの『ハーレイ・クィン』を演じたマーゴット・ロビーが製作に携わっているだけあり、鋭い女性目線のタッチが際立っていた。主演のキャリー・マガリンが、歳相応の素の可愛らしい女性と狂気に満ちた復讐鬼としての表情を持ち合わせた両面性を、巧みに使い分けている演出も納得する。特に、最後のキャシーのメイクや衣装は、ハーレイ・クインか…、椎名林檎か…みたいな感じの、強いインパクトを植え付けた。
いずれにせよ、期待以上のサスペンス作品だった。