「女は女優よ!」茜色に焼かれる hkr21さんの映画レビュー(感想・評価)
女は女優よ!
監督のオリジナル脚本って、やっぱいいなー。
好き嫌いは別にして、身を削って産み出しているから、
作品への強い思い入れを感じ取れるもの。
その思いを受けての相乗効果なのか役者の演技が、
とても良いものになる気がする…。
といっても、監督の力量にもよるのでしょうが…
たまに、自己満足全開の方がいらっしゃるので、
それも合う合わないだけで、大人の力が働いていない分、良いのだけどね。
と、話が反れたが、
今回の尾野真千子さんは、非常に良かったです。
元々、あまり好きじゃない俳優さんだったのですが、
それを気にしないぐらい、苦手な尾野真千子さんが消えていました。
田中良子そのものでした。
母の顔がメインですが、女の顔、乙女の顔、男気の顔、
いろんな表情が、どれも素晴らしかった。
先生にいじめを訴えるとき、息子を誉められたとき、
居酒屋でケイに愚痴るとき、弁護士と話すとき、
同級生の前でぶりっ子のとき、風俗のとき、
純平といるとき、 ぜーんぶ顔が違ってた。
そして、とても魅力的だった。
まさに、「女は女優よ!」なのかも知れない。
それも、演技の上手い。
純平もケイも、店長も、みーんな良かった。
ただ、田中良子というキャラクターの自分に苦労を強いてしまう頑固さは、
共感できなかったけどね。
「まぁ、がんばりましょ。」という台詞も苦手でした。
なんか、自分に言い聞かせてて、呪いの呪文みたいで。
がんばんなくていいよ。って思うから。
それと、いじめたやつらにも制裁を加えて欲しかったけど、
勧善懲悪じゃないところは、
やはり弱者が我慢する部分を描くためには必要だったのかな…。
最後の茜色の空と息子との2人乗りのシーンは、
この理不尽がまかり通る世の中でも、
親子の絆と強く生きていく意志が感じられて、
映画館を出て空を見上げて前に進める気分になりました。
そして、雌豹、田中良子の芝居を、息子が理解できなさ加減も最高でした!