「息子のすっとぼけた感じに救われた」茜色に焼かれる 北枕寝二さんの映画レビュー(感想・評価)
息子のすっとぼけた感じに救われた
金曜日のスタンプ会員デー昼過ぎの回にいつもの映画館
客は10人くらいかな
本日は休暇だったので鑑賞前に公園のベンチでビール
家からこっそり持ち出したおつまみとともに
保冷剤も持ってきたので缶ビールの冷たさを保持
マスクを外しラジオを聴きながら たまらなく幸福なひととき
で 映画の話 期待通り 素晴らしかった
コロナの話も織り込まれていて
監督の社会の理不尽さへの怒りが投影されている
監督自身が編集も行っていて
エピソード毎のバランスがとれていない印象があったが
そういうところがむしろ好ましく感じられた
きっと膨大な映像量をどうにか2時間半に収めたのでは
老人の暴走事故とか子宮頚ガン 肉親からのレイプとか
シリアスなエピソードも多いが作品全体にはユーモアがにじむ
息子のすっとぼけた感じに救われた
息子が床に股間を擦り付けているところを
淡々と見る母の画はなかなかだ
旦那の昔のスケベなバンド仲間 教師 尾野真千子の初恋相手
花屋の店長 風俗の客 死んだダンナの元愛人
息子をいじめる連中…
どいつもイヤな奴らだが記号的な役割でなく丁寧に描かれている
それぞれの理屈で生きていることがうかがえる
そして酷い目に遭うこともない(あ 初恋相手は遭ったか)
息子の成績が良すぎるエピソードの意味合いは
よく分からなかったが その後の尾野真千子の表情が幸せそうで
そういうところを描きたかったのかと
風俗嬢を演じた女優よかった 居酒屋のシーンがいい
ろくでもないオヤジとかヒモを結局かばっているところは
映画ながらつらいものがあった
映画の中だからこそ救ってほしかった
永瀬正敏はカッコよすぎ さすがに最後はありえないかと…
でもまぁ全てを許せるいい映画だった
出演者のプロフィールとかレビューを見るのが楽しみだ
プロデューサーに竹内力 リキプロダクションの名
ここでもニヤリ 出てもよかったのに