「現代を生き抜くのに必要な強さとは。」茜色に焼かれる エクさんの映画レビュー(感想・評価)
現代を生き抜くのに必要な強さとは。
「生きる理由がなくなる」「神様を探してる」そんな台詞があふれた。
観ているあいだ、自分の生きる理由はまだまだ長くもちそうなのか、そんなことを思ってみたりもした。
「まぁ、がんばりましょう」。こんな台詞も多かった。ヒロインが自分にも言い聞かせるようなこの言葉は大した社会じゃない、そんな簡単じゃない、でも生きたい、そんな風に聞こえた。
ありのままを見つめて、そこそこにきちんと生きて寿命をまっとうする。命を大切にして生きて、次の人たちに任せたい、できればささやかな何かを残したい、そんな素朴な自分の生きる理由をちょっぴり肯定してもらった気になった。
それにしても、この作品には弱みにつけこむ人間がわんさか登場する。そしてそのすべての人間にある意味そうなる正しい理由が存在する。
翻って自分をみれば、自分にもそんなところがある。
そして、ヒロインも最後、ちょっぴりズルくなる。
そんなもの、でもある。
面白かった。素晴らしい映画体験になった。
それにしても、尾野真千子がすごい。新しい今を生きる等身大のヒロイン役が新鮮だった。これまでの強さでない、孤独な現代に立ち続ける難しさと強さを、見せつけた。
そして片山友希、なんとキュートなことか。見た目の幼さが傷に見えて、切なくなった。
あの『セトウツミ』のキュートだった女優さんだという。出てきたね。
石井裕也作品、近年ではピカイチによかった気がする。
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