「ソニー製スパイダーマン映画へのアンサー&ケア全開作!!」スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ソニー製スパイダーマン映画へのアンサー&ケア全開作!!

2022年1月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

ネタバレ規制がたくさんありすぎて、なかなか語るのが難しい作品ではあるが、既にオフィシャルに出ている情報として、歴代ヴィランが登場するにあたって、あくまで同じ俳優が演じているだけであって、サム・ライミ版『スパイダーマン』や『アメイジング・スパイダーマン』との関係性に関して、私たちが疑問に思っていることを、いちいち説明してくれる。

これが落ち着いてできるのは、スパイダーマンのヴィランには、自分の意志に反して、事故や研究の失敗によって誕生してしまった者が多いからであって、その特性を上手く使っている。

例えばエレクトロが『アメイジング・スパイダーマン2』に登場した際の青色でない理由や、どのタイミングで飛ばされてきたかなど具体的に、ときにメタ的に説明してくれるのが親切と捉えるか、ちょっと説明臭いと捉えるかは意見がわかれるかもしれないが、ここまでスッキリとした回答を提示してくれるのも清々しいというものだ。

スパイダーマンには悲劇がつきものであるが、実はMCUにおいてのスパイダーマンに関しては、自分の責任において、誰かが犠牲になってしまうということはなかった。アイアンマンの場合は、スパイダーマンのために犠牲になったわけではなく、世界のために犠牲になったわけだから、ピーターにとってトラウマとは少し違うもの。

しかし、今回でピーターは悲劇、そして自分の闇の部分、子どもだったからこそ巻き起こしてしまった代償、あるいは10代の少年が大人になるうえで経験することのメタファーであり、それらをハイスピードで経験したといったところ。

今回の物語は、言ってしまえば、ほぼ原因がピーターにあって、それを自分で解決したに過ぎない。しかしそれによって、失うものの多さを実感することで、ヒーローとして生きること、周りを傷つけずにいること、「大いなる力には大いなる責任が伴う」というソニーにとってのスパイダーマンの代名詞に繋がるという構造は見事。

製作のエイミー・パスカルが、トム・ホランド続投で新3部作の製作を発表したが、この人は以前にもサム・ライミ版を9作品作ると言っていたし、他にも大げさに言うことが多く、あまり満足に実現したことがないこともあって、個人的にあまり信用していないが、今後のMCUにおけるスパイダーマンの活躍が、どう描かれていくかは期待が高まる。

今回、マルチバース設定も、前作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のようなスカしではなく、ガッツリと描いていたし、『ロキ』や『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス 』『アントマン&ワスプ: クアントゥマニア』と、今後マルチバースが本格的に導入されていくことは間違いなく、いよいよ何でもアリな世界に突入した!!これが良かったかどうかは……3年ぐらい経ったらわかるだろう。

バフィー吉川(Buffys Movie)