鳩の撃退法のレビュー・感想・評価
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それすらも虚構 なのでは?
小説家である主人公が自らを主人公とした小説を描くことで、登場人物でありながらストリーテラーの役割をこなしていく
この構造によって何が事実で何が小説の中のフィクションなのかが曖昧になり、虚実入り乱れた展開へ突入していく
劇中の出来事を素直に受け取れば鳩が籠から飛び出した、即ち偽札が流出したことから巻き起こるすったもんだ ということにはなるんだろうと思うけど、果たしてそれすら事実なのか
劇中では編集者との会話を基点として小説と現実が区別されていたものの、そもそもその編集者との会話すら小説の中の話 なのではと勘ぐってしまう
小説家なら起こってはならなかったことを起こらなかったことにでき、起こらなかったことを起こったことにも出来る
少し突飛な発想にも思えるものの、こういった言葉こそ作品全体を物語っているようにも思え、そういった考えを巡らせることもまたワクワクする作品だった
あとは特にキャリーの中身が辿る導線
この部分を巡る点と点が繋がり合う展開は非常にスピーディーかつ群像劇的な面白さがあり、なるほどど合点の行く流れが作品全体のテンポ感と絡み合う糸が解けていくような気持ちよさを押し上げていた
偽札の存在理由や目的などモヤっとする点はあるものの、あくまで偽札の背景ではなく存在するそのものを巡る話だとすれば正にTooMuchInfomation
そこを取り上げるのは冗長だってことになるのかな とも考えている
special thanks 加賀まりこ
富山で発生する一家失踪事件と金に纏わる事件、そして都市伝説ともいわれる顔役についての小説を書く小説家の話。
嘗ての直木賞作家で、数年作品を発表していない小説家が、3年ぶりに手掛けている作品を出版社の女性にに読ませる体で展開していく。
3万、3万、1万、5万、20万と小さい金に纏わるやり取りが飛び交う序盤、これだけ金の話題になればそこに何かと勘繰るよねwというわかりやすさもありつつの、富山に流れて来て半年、デリヘルの運転手をする自身を一人称に進行していく。
馴染みの古本屋とのエピソードや深夜にカフェで出会った男とのエピソード等、交わりそうに無いちょっと浮世離れした物語がミステリアスだし、この話がどう繫がるのか、もしかしたら繋がらないのか、そしてフィクションなのか事実なのか、と想像力を掻き立てられる。
また、ヤケに事情通の登場人物達や、ちょっとズレた様なとぼけたリアクション等、暗~くシリアスになり過ぎずに和ませてくれるアクセントが効いていて面白かった。
そういえば、最近は気にされない方もおられますが、実社会において「バーテン」は蔑称なのでちゃんと「バーテンダー」と呼びましょうね。
期待しすぎたかな。
結局何も解決してない
うーん、色々繋がっていく感じは面白かったが、最後の部分があまりピン...
で、オチは?
【鳩が豆鉄砲/僕は偽札を使ったことがある件/伏線の回収は必要か】
太鳳ちゃんは、この作品は伏線がミルフィーユのように沢山あって、何度も観た方が良いと言っていたが、原作を読んでみるのも良いと思う。
文庫で上下巻合計1000ページをゆうに超える分量だが、軽妙な語り口で、割と苦労せずに読める作品のように思う。
この作品タイトルの”鳩”というのは偽札のことだ。
そして、もう一つ、鳩は読者や映画を観た僕達のことも指しているんじゃないかと考えたりする。
なぜか。
それは、皆んなの大好きな伏線の回収がなされないからだ。
豆鉄砲を食らったような感覚を少なからず覚えるからだ。
随分前に読んだ、この原作の伏線の回収のなされなさに、思わず笑ってしまったことを思い出す。
映画も、伏線の回収に重きを置く人は絶対に観てはいけないし、たとえ観たからと言って、伏線が回収されないことにモンクを言ってはいけない。
なぜなら、それこそが作者の意図したところのように感じるし、ほくそ笑む姿が目に浮かぶからだ。
伏線の回収なんていう予定調和を歯牙にも掛けていない。
せいぜい、原作を読んだ後の僕みたいに豆鉄砲を食らったような顔をしておくのが最善だ。
ところで、僕は、偽札を使ったことがある。
ただ、ドル紙幣だし、正確には、とあるアジアの国で、その国の通貨と交換したことがあるのだ。
今だったら、絶対しないが、当時は若くて、面白いからという理由で試してみたかったのだ。
20年以上前、アメリカ出張の時、思いがけず、週末を挟むことになった。
出張で週末を挟むことは、ほとんどなくて、国境を跨ぐ移動に当てられることが多いのだけれども、これはラッキーと思って、シカゴの友人とカブスのゲームを観に行った。
そこでMLB公認のシカゴ・カブスのキャップとユニフォーム・シャツを購入したのだが、そのお釣りの中に、変な紙幣が紛れ込んでいたのだ。
厚手でちょっとごわついた紙質、微妙に傾斜した印刷。
あっ、偽札だと思って、まあ、当時はドルには珍しくないと言われていたけれども、東京に持ち帰って、今は名前が消失してしまった都市銀行の、とある支店の窓口で、ほかのドル札に紛れさせて、円に交換できるか試してみた。
そしたら、案の定…
〇〇さまー、
はいっ、
お客さまー、(ここから小声で)これ正式なドルのお札ではないようなんですよ、これ以外は両替は可能なんですが…。
あっ、結構です。じゃあ、他のドルも結構ですと言って、僕は、記念に取っておくか、しばらく悩むことになった。
そして、数ヶ月後、とあるアジアの国を当時付き合っていた彼女と有給を使って旅行することになって、その現地の空港で再び試すことにした。
日本だったら、あの銀行のような対応で済むところ、もしかしたら、逮捕されてもおかしくない…かもしれない…そんな政治情勢の国だなんて、これっぽっちも考えない無邪気さで、エクスチェンジに出したら、ダダダダダダって、カウンターにかけられて…、現地通貨に両替出来たのだ。
“あっ、しまった。記念に取っておけばよかった。なんだよー、ザルな国だなー、この国はー。”
その後、10年以上経って、この原作を読んだ僕は、ある一文で、まあ、僕の対応は悪くはなかったななんて考えた。
こんな感じだったと思う。
“鳩なんて手元に来たら、その後、なんとか処分しなくちゃならないだろう”
そうなのだ。
そして、考えてみたら、僕の偽ドル札はめでたく僕の手元から離れたが、伏線の回収はない。
報じられることもなければ、当然、経緯も何もない。
でも、よく考えてみたら、こんな大それたことじゃなくても、僕達は、ほとんど伏線なんて回収することなくずっと生きているではないか。
だから、このエンタメ小説と映画は、このまんま楽しめば良いと思います。
予告の「天才」というキーワードで勘違い
時系列入替と虚実と現実
特徴的なカット編集
早めの編集と、部屋の中でカメラ位置同じでカットして飛ばす言葉では表現しづらいけれど、青山真治監督が特徴的に良く使う手法があり、驚いた。佐藤正午の特徴の田舎ノワールな作風もしっかり押さえていた。全体的に早めで飽きない。藤原の大きい演技も小説家だからこのぐらい大仰で良い。演技も良く、カフェの店員は誰だろうと思ったら西野七瀬さんとのことで、同時期の孤狼の血と比べるとこちらの方が自然な演技。カメラワークも素晴らしい。音楽も素晴らしいんだけど、ラストで井上陽水の氷の世界という大ネタを掛けるのはどういう意図だろう。もちろん素晴らしい曲だが若者イメージの曲過ぎて映画のトーンとは合っていないように思うが、こういったポップミュージック使いはあまり邦画でないからやってみたかったのかも知れない。その野心は評価されて欲しい。
スッキリ回収された?
お話としては面白いのかも─
何を「観た」と思えばいいのか?
装丁はいいけど製本は落丁気味
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