明け方の若者たちのレビュー・感想・評価
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夜明け前
黒島結菜さんが良い。
サクラダリセットとはまるで別人で大人っぽくて妖艶で北村さん演じる「僕」が心を奪われるのもさもありなんと思わせる良い出来。
僕自身冒頭から心を掴まれてこの黒島さんの誘いに乗るように映画の世界にのめり込んでいった。
北村さん演じる「僕」もいい。
世の中に抱く“夢”と厳しい“現実”の狭間で揺れ動くまだ大人になりきれない学生から社会人への移行期間を上手いこと表現していた。
特に配属先が総務に決まった時の反応なんか「このダサい所で働くの」という心の声が聞こえてくるようで素晴らしかった。
その他にも表情で心情が伝わってきて凄かった。(表情で芝居をしているとかそう言う事ではなく、表情を変えなくても心が伝わってきた)
話自体も途中まで特段何か大きな展開が起きるわけではないのだが不思議と観れてしまった。
一つは社会人になりきれないという状況が僕自身同じような状況に置かれてるので妙に共感できたのもあるかもしれない。
ところが途中からどんでん返しが起きる。
もちろんその種明かしの前にも伏線のように違和感は張られていたのだが、全く違う系統の展開を予測していた為大変びっくりした。
良い驚きで更に作品に引き込まれた。
余計な事だが、明大前で出逢い下北沢辺りで仲を深めるというのは去年公開された映画「花束みたいな恋をした」を連想してしまって少し困った。
もちろん原作がある作品だしたまたま似ただけなのだが去年の「花束〜」がまだ残ってるので余計に連想してしまった。
だからこそ純愛系のストーリーを連想して余計にどんでん返しに驚いたというのはあるのだろうが。
最後にこの映画を見終わった後に感じたことを一つ。
この映画が社会人なりたての人に向けた映画であることは明白だが、その世代に対して「社会の歯車になるな!クリエイティブに生きろ!」みたいなテーマを伝える作品が世の中に多い中、この作品は「歯車でもいいんだ。その中で懸命に回ればいい。歯車になることは悲しいことでもなんでもないんだよ」というようなメッセージを感じた。
「明け方の若者たち」という、個人的にはしっくりくる題名
原作はカツセマサヒコの小説。主な登場人物は僕と彼女、そして親友の尚人の3人。東京で生きる僕が就活を終えた21歳から始まり、社会人として働き始め29歳ぐらいまでのお話。題名にある“明け方“というのは、個人的には夜(現状)とのお別れが迫り、また朝(未来)が始まろうとしている時間だと感じた。作中では、彼女(既婚者)と付き合うことを決めた明け方、友と朝まで飲み語らいいつまでも朝が来ないでほしい明け方、彼女との時間がこのまま続けば良いと思える美しい明け方(彼女との最後の旅行)、彼女と別れ絶望に陥る明け方など様々な明け方の描写があった。大学生で企画の仕事をしたいと未来に希望を持っていたが、社会人になり地味な総務部に配属になり現実に打ちのめされ「こんなはずじゃなかった」という僕。そして彼の世界は彼女で満たされていく中、既婚者の彼女の夫が突如帰国しそんな恋も終わりを告げる。そしてまた少しずつ前へ歩みを進めていく。親友の尚人も転職をし、僕も新しく新設された企画の部署に異動となる。若者たちにまた新しい明け方が訪れたのかもしれない。
PS.このお話も私と同年代のお話だったので刺さる部分が多かった。また監督の松本花奈さんも23歳と歳が近いのにこんなに活躍されていて良い刺激になった。
同世代が観て
原作未読で鑑賞しました。
私も20代前半で、自分に近い感覚で鑑賞することができました。
飲み会中、言い寄ってきた女性と抜け出して
意気投合して楽しく過ごしている。
大学時代にこんなこと、自分にもあったなぁ〜という感覚でいましたが
黒島結菜さんのすべてを覆す発言。
あの発言を含めても
そんな関係でも好きなら、若けりゃこういう決断しちゃうよね〜って思いました。
多少の違和感があっても、ストーリー自体はなんとなく理解することができました。
何より若年層にウケる、バズるような音楽を流しておけばいいだろ感に冷めてしまいました。
エモい音楽集の映像にしか感じられませんでした。
エイリアンズはなんとなく話の流れ的にも必要かと思いましたが、マカえんもきのこ帝国もMVにしか感じられませんでした。
ただ北村匠海さんと黒島結菜の体当たりの演技は鳥肌モノです。
特に全てが溢れ出してしまう風呂場のシーンはグッとくるものがありました。
期待値
綺麗な映像とオープニングのようなエンドロールとテーマ音楽。リアル感のあるストーリー、エンタメではなく等身大の現実を体感できる良い映画だったと思います。どんでん返しやエンタメ期待したいのなら、別作品に行くのが賢明だと・・・
正しいお別れ(女々しく事件性もない)、リアル感のある喪失と回復、最後の公園も男子ならではの女々しさがあり、懐かしい心のきびを感じました。分かった上で、傷つく練習、好きと言わない彼女の理由の回収、順序の整った感じ好きでした。
また明大前かよ下北かよ、多分みんなそう思ったと思う。でもそうなん...
また明大前かよ下北かよ、多分みんなそう思ったと思う。でもそうなんだよな。先に出てきたいくつかの傑作には勝てないんじゃないかなと思いながら、Amazon Primeで配信が始まった続編が見たくて(笑)、まず正編を見ようと劇場へ。
筋としてはやはりあのどんでん返し、二度目のくじら公園、そこでわかるそれまでの描写でのいくつかのアレ?への回答が、切なくて。就職あるあるネタで乗り切れなかったところを乗り越えて迫ってきた。
イケメンすぎる同期や山中崇パイセン、風俗嬢に濱田マリなど助演群も良かったがやっぱり黒島結菜良かった。北村匠海はセリフの間が上手いのか下手なのか微妙ダガそれは演出の仕事か。
気になるところはねちっこいキスシーンと朝ドラを控える黒島結菜と今イケイケの北村匠海のセックスシーン。バスローブのままでさせるならあんなに腰を振る描写は要らんかったのでは、と妙に引っかかってしまった。風俗でイく描写など、若い女性監督が気張ってしまったのかなと思えてしまいました。
誰か、大人はいなかったのか?
原作があるのは知りませんでした。もちろん、読んでいません。
街の上でと比較されますが、下北沢の扱いが不当ではなかと評価を下げました。
本作は駅前の『イケテナイ』感じや、すずらん通りや、宮古が出てきたのは明大前を語る上で重要なのでよかったと思います。
しかし、物語として取りたてて、面白いこともないし、登場人物の行動にリアリティーを感じず、ガッカリでした。
これは原作のためなのか、脚本の問題なのか、監督の手腕が足りないのかは分かりません。
演者はよくやっていたように思えました。
学生が就職し、現実の向き合い、挫折感を味わうよくある題材と思います。
通常面白いと感じるのは、元から成績が悪かったり人付き合いが悪い人が、社会で挫折を味わい成長するものです。
捻ったものでは、ダメな人が、社会で挫折して、ダメなままの自分を受けれる話です。
本作はどちらにも当たりません。普通そうに見え、明治大学(たぶん)から一流企業に就職し、内心の不満わあれど仕事はこなし、
問題はあるが恋愛・失恋する話で、最後に何も達成しません。
それでも、ハプニングがあったり、そうでなくても共感できる日常があれば良い作品に思えます。
どちらもありません。
以下にネババレを含みます。
まず、宴会が何の集まりかわかりません。このため、二人の出会いにいかなる意義があるのかもよく分かりません。
このため、彼女は本当にただのビッチであった可能性さえ考えられます。彼も孤独な人と描かれておらず、
普通の特徴の薄い学生と感じられます。成長する様子はないため、物語としての面白みはありません。
授業、仕事、飲酒、性交が生活のほとんどを占めています。
学業・仕事をこなすのは当然として、こんな生活が退屈なのは当然です。会社や社会のせいではありません。
自分が何もしてないためです。
『渋谷をジャックする』と言ってクリエイティブな仕事をしたいそうです。
でも、飲酒と性交しかない人に何かクリエイティブなことができるのでしょうか。
自室には本も、雑誌も、映画のポスターも、CDも(2010年代前半ならまだ)、文化的な生活はしてなさそうです。
別にTVゲームでもいいのに。本位読めよ。
そもそも、総務の仕事を舐めています。会社の土台の大事な仕事です。しっかりやってほしいです。
おそらく、映画製作陣が総務のことをまるでわかっていないのではないでしょうか。
ビールが大抵泡が消えていて不味そうです。
食事も喫茶店のナポリタン以外ほとんど出てきません。
逗子マリーナにすごく良いレストランがないことが問題ではありません。
生活実態がわからないのです。フード理論的に問題です。
素敵なお母さんがいるのだから、お家でご飯食べましょう。
高円寺に引っ越す意味もわかりません。
明大前に通っているくらいなのに、大卒の新人の給与でアパート借りるのは大変。
家具も新たに揃えているし。そうでもしてしたかったのは、何?何もない。
やっぱり、性交だけ?
これぞという感じで音楽を使いますが、それ以外の音楽を大事にしていません。
彼は日常で音楽をきいいていないし、クリエイティブならKRINJI位は知っていた欲しい。
製作陣もあまり音楽聴かないんじゃないかな。
全体の音楽の入れ方で素敵な映画になりうるのに。
大学や大学院を舐めていませんか。
学部によって違ったり、就職のときに関係ない職種に着くことはよくあります。
しかし、卒業前にはそれなりの忙しさがあったり、自分の専門分野にはそれなりのひと頃はあるでしょう。
二人とも就職するまで、何も進歩がない。でも、普通の学生として見える。バランスが悪いです。
逗子マリーナで性交しかしていないのに、それが人生の絶頂のようにいうのはどうでしょう。
もちろん、良い思い出かもしれませんが、本当に何もしていない。そりゃ、逗子マリーナには何もないですよ。
それから、バスローブ着たままするのは、倦怠期のカップルだって。
数年引きずる恋なら、全裸で密着したいはず。
撮影の問題なら、布団かぶれば済むはず。
結局彼女のビッチ感だけ残ってしまう。
報われない恋であることはわかっていたのに、落ち込み具合が突然すぎる。
バレないように用心全くしてないくせに。
連絡来なければ、あらゆる手段を使っても、会いに行くだろう。
自宅での引きこもりは、とってつけたよう。
通常、ものにあたる→寝込む→昇華するの順番ですよ。
また、復帰後の職場の反応もおかしい。みんなに、無断欠勤じゃないんだよ。
みんなに、振られたから明日から休みます、とか宣言したのか?
気になることがたくさんあって、まとまっていませんので、まとめ。
普通の大学生がいい就職をした。夫が長期出張のビッチに騙されて、逢瀬を繰り返した。
夫が帰ってきて終わり。理想の人生でないと思うも、自分は何もしない。
思いますに、製作陣が、世間を知らずに作ってしまったんじゃないかと。
普通の人の人生にも、注目すべき、ドラマや感動があるのに、それが理解できないのではないかと。
追記
あの、指のシーンもひどい。
あの規模の工場なら、自己の訓練してるだろう。
『不謹慎』はつげんするなら、自傷にはしるとか、ナンパしまくるとかないの?
あの指は、マイクロで血管縫合できないので、着きませんよ。
『ほんとそれな』
この作品を観た理由は2つ。一つは明大前沖縄料理屋『宮古』がロケ現場。そして、若い頃によくあった都市伝説ででいうところの"印刷会社指切断"話。
宮古は私も学生時代によく行った店。劇団の千秋楽の反省会などで店の店主から鍵を借りて、朝まで泡盛で潰されたものである。
そんな懐かしさに誘われ、そして映画クーポンが期限切れに迫っていたので何か観なきゃ勿体ないと思ってのチョイスだ。
なので観る前にガッツりネタバレ考察を読んでしまった。今作品の最大のキモである"信用ならざる語り手"という叙述トリックを使用したストーリーは、粗方理解した上での鑑賞である。
『実は結婚していてそれでも関係を持ちたい』という願望をお互い享受しながら突然の別れに困惑と堕落を経た後にほんの一寸の前向きさを予感しつつカメラは明け方の明大前の空にパンしてfinといった感じだ。
原作未読なので世界観の摺り合せがどうなっているのかは分らないが映画だけでいったら、展開やトリックといったものは悪くはない。よくある不倫話を
新しいアイデアで演出することは興味深い。
但し、俳優陣の能力不足、特に主演の北村匠海の表情の乏しさが悔やまれる。財布の中のレシートの山等々伏線は張っているのだが、やはり一番の伏線は、幸せの中の一抹の不安感をどうやってカメラの前にみせるかがキモなのであろう。
今作品はそれが出来ていたか、否である。
バスローブ濡れ場なんてのは、女優としての黒島の度胸の無さ、いや事務所の都合なのかもしれないが、せめて男の方は裸でケツを振るのが見せ場なのではないのだろうか。
種明かしした後のストーリー展開の鈍重さは頂けないだけに、そこまでのドラマ性をもっと掻立てて欲しかった演出である。
オススメは出来ない
主要キャストの演技は皆良かったが、お正月から観るような作品ではなかった。
ただただ、よくあるこの年代の若者の風景を切り取った映像が流れて飽きてきた頃に、リアルとはいえ想定外のショッキングな場面を観てしまい、気持ちがさらに沈んだ。その後、展開がガラッと変わったのは良いが、女性の悪女ぶりを観させられさらに気持ちが沈んだ。
唯一良かったのは初めて井上さんという俳優を知った事。ただ、キャラクターがイケメンで仕事が出来るわりに彼女もいそうになく、やけに主人公とばかり一緒にいて違和感。彼女を作らないのも友達の彼女含めて仲が良いのもあり得ないとは言わないまでもご都合主義のキャラクター設定に見えた。
そして、何よりもエキストラなのか酷すぎる演技が数名いて、なぜこれでOKが出たのかわからない。
配信で十分な作品。デート向きでは全く無いので要注意。
あまりに気持ちが沈んだので、先日も観た99.9を口直しに観てスカッとさせてから映画館を後にした。
ストーリー展開が?
ストーリーの展開を操作して純愛に見せかけている。でもアリでしょう。しかしながら多くを語れる作品ではないかも。この中途半端な気持ちの昇華はどうすればいいんですか?ラストのクジラ公園のありえないハイボール缶と見上げる明け方の空。皆さんで御自由にですか。
3
黒島結菜さん、いっそうお綺麗になりましたね。 朝ドラの主演も決まっ...
黒島結菜さん、いっそうお綺麗になりましたね。
朝ドラの主演も決まってると言う事で本格的にブレークしそうで嬉しいですね!
劇中で黒島さんが人妻だと分かってからは、特に何も起きない事も相まってけっこう腹が立ちました。笑
北村くんが総務部を辞めないところは良かったです。
原作をおすすめしちゃう
書籍が発売された時に、尾崎世界観の書評を見て読んだ時の興奮があったので、なかなかそれを超えては来ないと思っての視聴。
大好きだったエイリアンズが流れるシーンは、ゾクゾクっときた。
この映画、濡場のシーンが多いのですが(ラブストーリーだから当たり前だけど)、劇中を通しての「表現でセックスから逃げません」感がしんどかった。色んな意味で。
逃げないなら、逃げない方向に張り切って欲しかった。特に風俗のシーン。いろんな制約があって踏み込めないのなら、踏み込まなくていいのに。
あと、オフナレが全くない構成なのだけど、
尺的に難しいのはわかるけど、「僕」の心理描写が巧みな原作なだけに、勿体ないなあと。
ラストシーンのまとめ方とか、原作だとテンポよく、気持ちよさがあったので、オフナレなしの映像だけの映画ラストは締まらないな〜と思ってしまいました。
同期の直人とのシーンも、映像にすると稚拙に見えちゃうんだよなー。退職するシーンとか、自分で退職届を見せるんじゃなくてさ、原作の表現で見たかったよ。。
とはいえ、2時間の尺でまとめ上げるのはとても大変なことだと思いますし、仕方ない部分が多いんですよね、好き勝手言ってすみません。
映画だけをご覧になった方は、ぜひ原作にも手を伸ばしてみてはいかがかと思います!
原作が悪いのかもしれませんが・・・
年明けのわーわーした集まりが解散したあと興奮したままの頭をしっとりとさせたくて元旦のレイトショーで観ました。
う~ん。
正直、何を主眼として描きたいのか分からない内容で、原作のせいなのかもしれませんが???が浮かんでくるばかりの2時間を過ごして明け方を迎えることになりました。
まず、「彼女」役の黒島結菜さんとの出会いから惹かれ合う最初の場面は黒島さんの息を呑むような麗しさと、観客をもリアルに恋に落としてしまうような小悪魔的な"あざと可愛さ"によって一気に引き込まれ、「僕」を演じる北村匠海さん独特の”振り回される側”感とも見事に噛み合っていてとても良かったと思います。
ががが!ががが!
話が進み「実は既婚者との承知の上での不倫でした」という展開を経て、頭をフラットにして振り返ると違和感がすごいというか、役者の使い方が間違っているというか。
普通に考えて、「彼女」自身が言っていたように夫が帰国するまでの3年という期間限定で「自由に生きる!」というスタンスだとしても、初めて会った年下の大学生を「ズルい」やり方でまんまと落とし、最初のデートの帰りに「押して」と迫り速攻でホテルで結ばれ、高円寺に引っ越したあとは一緒に造り上げた愛の巣で半同棲までしてる・・・。
こんなめちゃくちゃワルい既婚女性いねぇええええええええええええ!!!!!!!!!!!
いや、実際にはそういう悪女も現実世界にいるにはいるのだと思いますが、リアリティがあるか?と言われるとそんな倒錯した生き方をしてる女性は個人的には見たことも聞いたこともないレベルで、何より黒島さんによる「彼女」は明らかに悪女としては演じられていない。(やってることを見たら普通にド悪女なのに)
別にそういう非日常的な不道徳を味わうストーリーなら別に良いんですが、同時進行していく「希望を持って社会の門を叩いた若者が"社畜"に成り下がり絶望する」という超現実的な話とのギャップが凄くて、
しかも「彼女」から突然連絡が途絶え仕事が手につかない様子の「僕」が描かれているように、その二つはシームレスに繋がっていることから、甘美な男女の(禁じられた)恋愛と、感情が鈍麻するような退屈すぎる社会人の日常のどっちにも共感できず物語に入り込めないという状態になりました。
めちゃくちゃ積極的で、小悪魔というより悪魔そのもののような「彼女」との関係は「彼女」の夫が突然帰国したことで終わりを告げるわけですが、
「彼女」いわく「ちゃんと好きだった」という「僕」とのあんな爛れた、めちゃくちゃ爛れた不純な関係を「夫が帰って来たから」という理由であっさり終わるのも観てる側からしたらポカーン( ゚д゚)で、
修羅の道に引き込んだ側の「彼女」が瞳に涙を浮かべながらしおらしくそれを伝えるのも正直理解不能でした。
まぁ、あくまで不倫という道理や道徳に背いた関係なので、終わり方も意味不明というのはある意味リアルなのかもしれないですが、黒島さんという女優さんの使い方としてあれで良かったのか?という疑問は大いに感じます。
海外出張に出た夫との別離によって寂しさを抱えた人妻としての"愁い"や"儚さ"だけを演じてもらって、いけないことだと分かっていても恋に落ちてしまうという二人を描いたほうが観客的には感情移入も納得もできたと思います。
「自由」を履き違えて年下の男の子とともに破滅ルートへアクセル全開で進んでおきながら最後はあっけない涙のお別れ。
それだと"恋する女性"でもなければ"勝手な悪女"でもない、どっちづかずの評価になりせっかくのヒロインとしての配役が残念な結果になってしまったように思えてなりません。
また、ラブシーンは音楽の演出などもあり非常に情緒的なのに、そこに至るまでの流れ(「彼」が「押していいの?」と尋ねるやりとり)などは不自然なまでの"自然さ"で、そこも違和感ありまくりでした。
社会人のつまらない日常との対比としてメロドラマパートを描くのなら、そこは演技っぽくなってでも段々と高揚感に繋げてほしかったです。
実際にそこらへんにいそうなカップルの素っぽいイチャつきからいきなり洋画さながらの互いについばむような大人のキスをおっぱじめられても、社会への順応性が低そうな「僕」の恋愛シーンとしてはアンマッチな気がしました。
黒島さんも北村さんも肌を大きく出した体当たりの演技や度胸は素晴らしいと思いますが、旅行先のホテルでの「僕」と「彼女」の情事で見せた黒島さんの華奢(過ぎるとも言える)太ももは年上女性のエロティシズムというよりは未成年者とのそれのように見えて、保護されなければいけない者が姦淫されているようで正直痛々しく見えてしまったり。
アダルトビデオのような明らかに現実的ではない(そんな勢いよく突っ込んだら痛いだろ)行為の流れや見せ方で、申し訳ないですが観ていてたまらず噴き出しました。
四肢や裸体をこれみよがしに見せなくても二人の愛の深さが伝わってくるようなラブシーンを映す方法はあると思いますし、その後の「僕」の風俗店でもまた露骨に性的なシーンがあったせいで、食傷気味というか「何なんだこの作品」と思ってしまったのは事実です。
他にも、缶ハイボールを飲む音、風呂場で歯磨き粉を吐き出す音、風俗嬢のフェラチオの音・・・
あえて聴かせることで何か意味があるわけでもない音は切り捨てるか、他にもリアリティを表現するなら拾うべき音と一緒に聴かせないと、ただただ気持ち悪さだけが残ってしまうような気がしました。
たとえ不倫の恋でも刹那的な恋でも、男女の恋愛を一つの物語として美しく見せたいなら首尾一貫そのための采配をしてほしかったし、
同時に進んでいく"社畜"としての日常も、その悲哀を描くなら分かりやすい"事件"の他にも現実世界のリアリティをつぎ込んだほうがその残酷さが伝わったはずだと思います。
いろいろ否定的なことを書いて酷評しているように見えるかもしれませんが、そうではなく、
場面転換の見せ方や繊細な情景描写はとても良くて、引き込まれる要素もふんだんにあったからこそ、それがぶつ切りにならないような、最初のあの勢いのまま上手く完結できるような作品と巡り合えたら良いのかなと思いました。
若い女性の監督さんのようで、原作から変えることに遠慮や抵抗があったのかもしれませんし、自分の色を出して受けなければ「改悪」とも言われかねないことを考えるとリスクでもあるんでしょうが、
原作から仔細な部分で変更を施しても映像作品として昇華できれば別にそれはそれで良いのではないでしょうか。
リアルで好き
最後の終わり方がとても好きでした。転職して大成功する訳でもなく、ヒロインが再び出てきてまた付き合うとかいうオチではなく、ただ歳を重ね人生そんなに上手く変わらないというリアル。
人生そんな上手くいかないけどその中で本当に自分がしたいことをブレない人が強い人だと感じさせられる映画でした。
甘口カレーか!
おせちもいいけどカレーもね!という時期に年始初映画。
黒島結菜ちゃんには恋する乙女のアシガールのままでにいて欲しい私としては濡場などけしからん!
という思いと、女優として開花するには濡場も必要なのか?
の葛藤をしながら観に行く。
監督は若い女性だが、いっそ監督がおっさんだった方が男目線の艶っぽい濡場になって、まだ辛口カレーになったかもな。
これまでの黒島結菜をアンバンマンのお子ちゃまカレーとすると、今回、甘口カレーになったぐらいの感じだった。
ガウンがめちゃくちゃ不自然だし、その割に長い。
3秒でもいいからガウンなしで挑んで美しいシーンを撮影していたら奔放な美しい人妻として、作品の質も上がっただろうに。
女性の監督ならではの視点で女性の身体を美しく撮ろうと思わなかったんだろうか。
あんな濡場なら一切なくても翌朝のシーンにするだけで、話はつながるよ。
学生時代の友人たち、それぞれ社会人になり苦悩する姿もなんだか文句が多くて甘い感じがする。
そこも甘口カレーな感じ。
大企業の歯車のありがたみを知れ!
単調な毎日の中に楽しさもやりがいも見つけられるだろ?
といちいち甘ったるく感じてしまうのだ。
失くしたスマホ探しで始まった恋はスマホを失くして終わる。
そこは、なんかよかった。北村匠海の物憂げな表情もよかった。
結論。黒島ちゃんは今回、往年の宮沢りえとか菅野美穂みたいにスパッと脱がなかったんだから、もう脱がなくていい、この先も。
小出しにもしなくて良い。
彼女の魅力は違うところにあると思う。
原作に頼りすぎ?
スッカスカなところも含めて、驚くほど原作に忠実というか何の演出もされておらず、これで2時間は正直キツい(原作小説は1時間で読める)。
2010年代の東京(下北沢、明大前、高円寺、渋谷)という、極めて限定的な時代と場所の若者のカルチャーをシェアできないと、原作同様とてもペラッペラな陳腐な作品にしか感じないのでは?
たとえシェアできなくても、作品が素晴らしければ、出てくる固有名詞を調べたりする気にもなると思うけど、果たしてどうなんだろう?(自分はほぼわかった)。
いろいろ事情はあると思うけど、ベッドシーンはとても20代前半のふたりのそれには見えず、せめてお風呂場で叫ぶシーンくらい全身で撮ればよかったのに…。
明け方のマジックアワーも全然印象に残らないし…。
全体的に若さを感じられなかったのが致命的かと。
北村匠海は大学生から社畜まで違和感がなく流石と思ったし、他のキャストもよかっただけに原作に頼りすぎたのが残念。
正に、時代は変わったのである
淡々と進む日常に退屈だなぁと思っていた私だが、途中からグッと引き込まれた。
不倫で泣かされるのは、女性と決まっていた時代から大きく変わったのだなぁと。
どうせなら、そのまま方向転換してゲイの道に進むのかと思ったら、そうでもなく…
まったく肌の見えないSEXシーンとか、スゴく不自然だった。凛とした美しさのある黒島さんなので、もう少し新感覚のエロスなど、表現出来たのでは?と思った。
あたしにもあったな〜、マジックアワー。
正月早々なんとなく選んだ作品。
北村さんと黒島さんは「十二人の死にたい子どもたち」で、共演済みかな。
なんかお似合いのふたり。
北村さん、セックスシーンでイッたあとに泣いてたの、なんで?そんなに気持ちよかったん?って思ってたんだけど、後半回収された。そういうことか。
なんていうか、若い時自分自身も感じてた「なんでもできそうな根拠のない自信」「永遠にこの楽しい時間が続きそうな感覚」それから、
就職して、結局なんにもできないじゃん、って表現が見事で、甘酸っぱく切なかった。
そして辛い。
明大前、高円寺、下北沢、新宿…と出てくる街並みもそれらの記憶を掻き立てる感じがあったかな。
上京組でそこら辺の街で遊んでた人たちには特に響きそう。
2022年一本目。とてもよかった。
エイリアンズの使い方が上手
キリンジさんの『エイリアンズ』が良い雰囲気の使い方なんですよ。
だけど、このシーンでこの曲を使っといて、そこで切るのってとこで曲が終わるの。
なんでって思ったんだけど続きが有った。
彼女の秘密が分かった後に聴くと、『エイリアンズ』の最後の方の歌詞と曲の雰囲気が、少し切なさも含んで感じるんですよね。
この映画のおかげで、今までと少し違う『エイリアンズ』を感じる事ができました。
松本監督、若いのに『エイリアンズ』の使い方が巧いなと思いましたよ。
キリンジさんの楽曲って、『アルカディア』のMVなんかを観ると映画向きなのかもしれませんね。
それから、ふられた後のカッコ悪い感じって、共感できる人も多いと思うの。
でも、時が経ってみると、そのカッコ悪さって、次に進むのに必要な物だったって感じられたんじゃないかな。
そもそも、そのカッコ悪さって、そんなにカッコ悪いものじゃないのかもね。
そんな感じの映画かな。
あと、北村さんはこういう自然な感じの役、しっくりきますね。
それと井上さんは、カッコいい役が合いますね。
最後に、私は配信を見る環境にないので見られないですけど、今度彼女の方からのスピンオフを配信するみたいです。
でも、私は内容を知りたくないかな。
だって、本当に夫が帰って来たのか、涙を見た彼女が終わらせる為に嘘をついたのか、真相は知りたくないもの。
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