「時を渡る若者たち」明け方の若者たち Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
時を渡る若者たち
原作は未読です。
私鉄沿線の駅とその周辺の夾雑な一帯が舞台。青インクが染み出したような朝の空に、薔薇色の陽光が射す。恋に傷つきながらも、人生の時間を、自分なりに愉しむ若者。
◉いずれにしても、私の恋と私の人生
「僕は最初からわかっていた。いつか、この時間に終わりがくることを……。」とキャッチは呟き、三人の男女は飲んだくれた夜明けに、今こそマジックアワーと叫びました。しかし彼らは過ぎ去った時間のみを哀惜していた訳ではないと感じました。恋人のいた過去と、恋人が去った今も、かけがえのない時間。
彼らが愛するものは、過去、現在、未来をゆったり流れゆく時の全て。それが自分の時間であると分かれば、落ち込んだ時も、また落ち着いて歩き出す。
◉素敵な暗い青年
主人公の青年はやる気はあるが、あまり無理はしないし、周囲や常識も気にするから、自分としての実りは少ない。人妻の遊びにフッと乗ってしまい、最後は相手のペースに合わせて別れる。優しい。
鬱屈と傷つきやすさも抱えて、晴れた日はあまり似合わない青年。しかし不貞腐れていると見えて、生真面目さや意欲はキチンと保っている。そのような青年を、北村匠海さんは好演していたと思います。
こんな若者に微笑んだところから、また新しい物語が始まったりする。
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