「主人公は今も十分に幸せだと気付けるだろうか」明け方の若者たち まめもやしさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公は今も十分に幸せだと気付けるだろうか
何を描き、何を伝えたいのかが分からなかった。見せるシーンと見せないシーンの棲み分けが曖昧で、具体的に挙げると、キスシーンはやたらと濃厚なのに対して、セックスシーンは不自然なバスローブ姿だったり。加えて窓の外から行為を覗くように映す謎のカットも差し込まれる。さらに、浴槽で歯磨きするシーンでは長回しかと思えば、カットを入れて口から吐き出す姿を2人分描く。中華屋での何気ないやりとりも、あまりにも何気なさすぎていて、『街の上で』や『花束みたいな恋をした』にある同様のシーンとは一線を画す。劇中の転となる「ある事実」についても、観てきた関係性と衝撃の度合いのどちらも半端な印象に留まるのが惜しい。“人生のマジックアワー”に浸りたくなる気持ちは分かるが、仕事にしても友人にしても、いまの幸せに気づいてほしいと思わずにはいられない。友人のキャラクターは良く、スピンオフではむしろ彼を見せてほしいと感じてしまう。
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