「別れの言葉は「うらめしや」」サマーゴースト bionさんの映画レビュー(感想・評価)
別れの言葉は「うらめしや」
日が沈んだばかりで茜色がほのかに残っている夏の飛行場跡地で三人の高校生が線香花火をつける。このシーンが幻想的でいきなり引き込まれてしまった。線香花火がパチパチと不規則な点滅を繰り返すアニメーションが心を癒してくれる。
川栄李奈が幽霊の絢音の役だが、現世に未練があるのかないのかわからないくらい落ち着いた声で、感情を表に出さない幽霊をうまく演じている。軽い感じで発する「うらめしや」という別れのあいさつは、後で考えてみると深い意味になっていた。
短編ながら登場人物をしっかり描けていて、4人それぞれの心情が伝わってくる。90分あれば残りの季節のエピソードも挿入できたと思う。でも、線香花火と同じく短い物語であることによって、長い余韻に浸ることができた。
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