「9人の監督たちによる“映画フェス”」MIRRORLIAR FILMS Season1 015🎬さんの映画レビュー(感想・評価)
9人の監督たちによる“映画フェス”
まあびっくりするほど個性の被らない9作品ですね。
全編何か繋がりがあるのかと思いましたが、特になかったみたいです。
音楽フェスの映画版みたいな感じです。とは言っても、大御所監督を後に持ってくるのではなく、
コメディ色の強い作品⇒ビジュアルも重視したシリアス作品というようなタイテの組み方のようです。
ネタバレしない程度にざっくりとした内容。
①『暴れる、女』
武正晴監督(『百円の恋』や『インザヒーロー』)
友近氏が出所後にいろいろとやりたい放題やる話。特にそれ以上でもそれ以下でもない。
多分、任侠ものを彷彿とさせるスタッフロールの絵を撮りたかったんだと思います。映えてます。
②『無事なる三匹プラスワン コロナ死闘編』
⼭下敦弘監督(『天然コケッコー』『苦役列車』)
性欲から卒業したいオッサンとその悪友達とのビフォーアフターを描いた話。卒業できていない。
この監督、こんなライトな話がつくれる人だっけ…と観ながら遠い目になる作品。
③『INSIDE』
花田陵監督。あまり情報がありません。
特にASMR中毒の方にとって必見の作品。野菜をボリボリ噛む音とかミルクを飲む音が耳に心地良いです。
部屋に閉じ込められている少女vs母親。9作品の中で一番五感を刺激される作品でした。推し。
④『Petto』
枝優花監督(『21世紀の女の子』『放課後ソーダ日和』)
横田真悠氏が美人過ぎて度肝を抜かれる。
“エルメス”と綽名を付けられているかつての親友兼同級生に久々にあったら、とんでもない生き物をペットにしていたという話。
「女性は産む機械」に対してのリプライ的作品。これもなかなか面白かった。
⑤『充電人』
⻄遼太郎監督。この方もあまり情報がない。
朝起きたらプラグ人間になっていた青年の話。無論、9作品の中でもかなりの異色。
ガスプラグ老夫婦が可愛い。
…ここからちょっと順番に自信がないです。
⑥『無題』
藤原知之監督作品。帰ってから知ったんですが、トリック劇場版と矢部謙三にも関わられてたんですね。
映画の監督兼脚本家(だと思う)がホームレスの少女に出会ったことを機に、彼女に関しての作品を作り上げる。ところが…という話。
確かに長尺で撮られた風景の写真&超高速で駆け抜けるスタッフロールは堤監督譲りっぽい。
⑦『B級文化遺産』
針⽣悠伺監督(『ホメられたい僕の妄想ごはん』)
2013年の作品のようです。マンホールの蓋やその辺のベンチ等、身近だけど価値のあるものを『B級文化遺産』とし、損ねたら3分間の狙撃タイムが始まる。
見せ方が現代風で面白かったです。洋ゲーやってる人ならテンション上がりそう。あとラスト5秒のオチが笑える。
⑧『さくら、』
安藤政信監督。なお共演は山田孝之氏と森川葵氏です。強い。
男2名と女1名の生活。ある日、男のうち1人が息を引き取る。残された女は生き残った男に対して、“彼が死んだのは貴方のせい”だと言うが…。
びっくりするほどビジュアル映えのする映画でした。なんだろう、蜷川実花氏とタイマン張れるくらいの映像美。
結構激しい役柄をやられている作品を拝見していたので、意外でしたね…。
⑨『inside you』
三吉彩花監督。こちらにもプロデューサーとして山田孝之氏が関わっているようです。
写真家として活動する主人公。行き詰まりを感じるうちに、ある日乗ったバスの車内から河川敷で踊るダンサーを発見する。
思わずバスを降りて彼女の元に駆け寄った彼女は…という話。
モデルさんが日頃見ている瞬間美を映像の形に昇華させたもののように感じました。
9作品の中ではトリを飾られただけあって、一番印象に残りました。
…だいたいこんな感じですかね。
面白かったです。一本の映画料金で九つの作品が観れるなんて、お得感ありますし。
ただ正直な話、もう少し作品を絞っても良かったのでは…という気がします。
あと監督によって短編作品が得手な方、正直苦手かも?という方に分かれた印象がありました。
まあ、でもこのプロジェクトは続いてほしいです。
日頃出会えないような作り手さんや作品と出会える、素晴らしいきっかけとなるので。