「良い要素も無くはない」100日間生きたワニ グッドルッキングガイさんの映画レビュー(感想・評価)
良い要素も無くはない
客観的な評価で言いましょう。
日本の映画史に名を遺す稀代の駄作であるところの実写版『デビルマン』。それと比べれば100日間生きたワニは遥かに観賞物として見る事が出来るようになっています。デビルマンは演者が素人を無調教で連れてきたかのような酷い状態でしたが、この映画に関しては皆さん精一杯打ち込んでいる事が分かります。演者のファンの方なら見る価値が上がるので採点+1~1.5はされるでしょう。
以上、褒められる点全てです。
以下、悪い点。
シナリオは動きのない展開の連続、アニメーションは作画枚数の少なさを体感できる程度に動かない。新キャラのカエルは、これを使ってやりたい事は理解できるが不快さや無神経さに目を覆いたくなるばかりでその結末についても全体的なチープさのせいで心に訴えかけてこない。
それとSE。
何ですかね、アレ。全体的に効果音の質が低い気がします。映画館って言う自宅では再現の難しい高度な音響設備を備えた所で上映する映像作品で何をやらかしているんですか。
客は時間と金をドブに捨てに来ているんじゃないですよ?
誠意が足りないです。
見た当日は憤りと失望で涙すら出ました。
そもそも100ワニは何度もリバイバルするような類の面白さじゃなかったんですよ。
こんな当たり前の普通に生きているワニが、その実最初から死ぬ事を定められている――しかし、結末は分からない(本当に死ぬのか?)っていうリアルタイムで隣にいる共感と結末が分かっている無常感とそれでもどんでん返しを期待する気持ちがあってこそ面白かったコンテンツであって、それをこんな既読者向けの内容でまた走らせる必要がない。
作ると決めたのなら何が受けていたのかちゃんと考えて下さい。