「生い立ちは?」99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
生い立ちは?
Tverでドラマ版を全て観てしまった。どちらかと言うとコメディ寄りの弁護士ドラマ。シーズン1では同僚弁護士の榮倉奈々、2では木村文乃が活躍していたが、今回の映画はスペシャルドラマから続投の杉咲花が深山(松本潤)の相棒として個性的キャラを演じていました。魅力度で言うと元裁判官の木村文乃には敵わないが先輩深山の尊敬ぶりは群を抜いていた。ある意味、パラリーガルの明石(片桐仁)のライバルw
映画化されてもドラマを超えるような内容ではなかったし、むしろキャラの個性が潰されてしまったようにも感じました。お約束のような強力キャラ岸井ゆきのも控え目。まぁ、美味しいところはTVドラマで出し尽くしたのかなぁ・・・そして、ドラマ未見の観客には不親切。接見の時に訊く「生い立ちは?」のフレーズもないし、深山の性格はオヤジギャグのみしか生かされてない。
熊本まで出張して調べたプロローグの事件の“目撃していない”証明がメインのワイン事件の再審請求よりも面白い。斑目法律事務所の徹底した再現調査は生かされていたし、ワイン毒殺の村人本人を駆出してまでの大掛かりなドラマは面白かった。だけど、何か足りない。冤罪を受けていた被疑者が死亡していたこともあるし、被疑者家族であることが発覚した蒔田彩珠に感情移入することも出来ない。敵対する謎の弁護士・南雲(西島秀俊)に対してもそうだ。
1961年の名張毒ぶどう酒事件をも想起させるような内容だったし、その事件を知らない人には和歌山毒物カレー事件を思い出す人もいるだろう。ところがコメディ寄りであるため、どうしても社会派ドラマになりきれないんじゃないでしょうか。TVドラマのほうがその点は興味深いものがあったけどなぁ。