劇場公開日 2021年12月30日

「ギャグものと見るか法律系映画と見るかでも評価は違うかなぁ(詳細本文)。」99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ギャグものと見るか法律系映画と見るかでも評価は違うかなぁ(詳細本文)。

2021年12月30日
PCから投稿

今年213本目(合計277本目)。

弁護士を扱った映画で、一部刑訴法(刑事訴訟法)や専門用語の話も出ますが、リアル弁護士の方が見に行くというのは(リアル人口比として)レアで、上限で行政書士レベル(刑法などは初歩のみ学習する)くらいじゃないかな…と思います。

内容としてはもうこれ、誰が犯人だのトリックがどうだのということを書き始めると即ネタバレであり、そこにも変だなぁと思うところはあるのですが、そこを採点対象にするとネタバレであり(減点度合いから逆にわかってしまう問題を抱えている。実はツッコミどころはそこそこある)、そこはばっさり省略します(他の方のレビューにも書いてありますし)。

上述通り、一部専門用語が出るものの、他の法律系映画と比べると抑え目で、知らないとわからないという状況は起きにくい(一部あるものの、それは下記で)一方、その事情から俗にいう「大衆ドラマ」の映画化という域を出ない一方で、法律を扱う映画なのは事実なので、そこをどう割り切るか(ギャグ映画と見るのも可能だし、法律系映画と見ることも可能だし、ドラマ版の延長と見るのも可能だし、複数の見方が可能)でかなり評価は分かれるんじゃないか…と思います。極端にマニアックでも理解が難しいですが、ちょっと肩透かしを食ってしまったかなぁという感じもします。

とはいえ、結局年末年始は数が少ないですし、ドラマ版もあるので、その延長線上と見れば「最低限のクオリティは担保されている」と見ることも可能で、「極端なハズレはひかない」(もちろん、ドラマ版を見て納得している、という前提で)という点では安心作ではないかと思う一方、極端に推せるか?というと微妙(結局、ドラマ版が好きか、出る俳優さんが好きかなどに帰する)なところもあるかなと思います。

採点は下記が気になったところです。

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(減点0.3) 「犯人隠匿罪に時効が成立している」の部分。
 リアル世界でもいわゆる逃げ得が指摘されていたこと、また厳罰化の流れを受けて、一部の刑は時効そのものがなくなりました(主に死刑に当たりうるような罪。また、それに匹敵するものも概して長くなりました)。

 ただ、俗にいう厳罰化の流れはリアル世界でも事実だったので、中には「全部、時効がなくなった」と思う方もいるかもしれませんが、犯人隠匿罪は3年で時効にかかります。
ですから、「時効が成立している」のは正しいのですが、そこは説明もいるかなぁ、と思います(この手のドラマは、結局誰かが殺されるような展開が普通で、殺人罪などには公訴時効が撤廃されたため、それらと混同したり、類推して「全部撤廃されている」と考える人も出ても仕方がない)。

 ※ 現実問題、すべての刑事事件に時効の概念を撤廃すると、証拠などを保管する場所を確保することが難しいという問題があり、「全体的に長くして、特に凶悪なものだけ無期限にした」状態ですが、それでも「概して非難の度合いが低い」罪は短めです。

(減点0.1) 加害者、被害者、事務所などを中傷するSNS(おそらく、ツイッターっぽいが、ぼかされている)が書き込まれるシーン。これもリアル社会では問題視されているところです。
憲法が要請する表現の自由や言論の自由がある一方で、これらには当然「その限界」があるのであり、一線を超えると名誉棄損など別の問題(民事・刑事のどちらか、または両方)が起きることも、またリアル社会では裁判になったこともご存じの方も多いかと思います。

「加害者に対しては何をやってもよい」というのではなく、まして「度を越して「知る権利」を行使してもよい」のでもないので、一応、法律系映画という観点ではこの部分はフォローが必要かな…という気がしました(積極的にそれらを推奨はしていないが、「こういうことはやめようよ」というような発言も出てこない)。

(減点なし/他事考慮) この年末年始ですが、この映画は舞台挨拶版と一般版があり、私は後者で見たのですが、舞台挨拶版は30分それがあったようで、そのため、この作品は4つ(舞台挨拶ありが2つ、なしが2つ)が同時に11時40分に終わって出口が密になる状況が起きてます。
これももう少し映画館側も配慮して欲しいところです。
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yukispica