「【人間の未来】」アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【人間の未来】
この作品は、鑑賞後、落ち着いてよく考えると、実はよく出来た物語だと思うようになる。
ずっと違和感と向き合うような作品で、今はまだちょっと荒唐無稽な未来を見せながらも、SF感は少なく、実は、現実社会の僕たちに対して、逆説的に様々に問いかけているのだと思う。
そして、更に、アルゴリズムを一旦は否定しながらも、自らの考え方が特定の型にはまってしまって、実はアルゴリズムのようになってしまってはいないか、そして、そこから更に思考し続けることの大切さを説いているように思うのだ。
(以下ネタバレ)
終盤の場面、アルマがたどり着いた、自動車の中で語られる結論、つまり、自分の好みだけを積み重ねて構成したアンドロイドと生活する未来に否定的な考えは、まるで、アルゴリズムが自分の好みに応じて見せるニュースや見解だけに囲まれて、多様な意見に耳を貸さないで半ば生きている、ギスギスしている僕たちの社会を否定しているようでもある。
しかし、アロマが、行方不明になったトムを探し出す場面も実は重要な意味があるように思う。
トムが、物語の中盤で、アロマのライバル・チームが古代文字の解読を成し遂げた事実を見つけ出した場面を思い出して欲しい。
僕たちの周りは、自分の都合の良い事実だけで成り立っているわけではないのだ。
つまり、アルゴリズムやAIは、僕たちの使い方によって、より客観的で、より良い方向に向けることも出来るのだと言いたいのだ。
だから、あのエンディングのアロマとトムの再会の場面が用意されていたのだ。
当初考えていたより、異なる示唆がある作品だと思った。
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