「ちょうどいい時間配分で飽きないつくり」偶然と想像 ちんさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょうどいい時間配分で飽きないつくり
2022年3月5日
友人に誘われ鑑賞。
まったく予備知識なく観ましたがとても楽しめました。
■映画全体の感想
邦画の短編集はおそらく初めて観ましたが、間伸びしないちょうどいい作りで、ピアノの演奏を聴いているような心地よい時間でした。
監督は『ドライブマイカー』で話題の濱口竜介氏でした。
この作品にもユマニテの女優(古川琴音)が出演しており、濱口監督はユマニテが好きなんだなぁと勝手に思いました。
ドライブマイカーでも思いましたが、第一話を除いて、全体的に本を朗読しているような台詞回しだなと感じました。あえてなのだと思いますが、その真意は分かりかねました。
この映画は3話の短編で構成されています。各話ごとに刺さるセリフや描写があり、自分に置き換えて考えさせられる映画でした。
個人的にはここ最近で1番いい映画でした。
■刺さったセリフや描写
□第一話
「つーだのかーだの、さみーんだよおまえら」
あの可愛い顔した古川琴音からトゲしか感じないツッコミのセリフがツボに入り、映画館でクスクス笑いました。
また、中島歩と玄里の甘々しい会話をこれでもかとイジる描写も好きでした。
□第二話
森那月がとにかくエロい。こんな妻欲しいと思いました。
最後のキスは2回目のハニートラップの始まりなんでしょうね。
□第三話
おばさんの馴れ合いが続くので正直面白くないなと思っていました。
しかし、自分も歳を重ねるとこういう会話をして、昔のことばかり気にするのかなぁと思うと他人事には思えず、観ていて苦しくなりました。(本来そういう趣旨の物語ではないと思いますが、、、笑)
◾️偶然と想像
各話とも『偶然』と『想像』がキーワードになった物語でした。
□第一話
『偶然』主人公の親友の想い人の男が自分の捨てた元彼だと知る。
主人公は親友との仲を壊さぬよう、壊したい衝動は『想像』に留めて、大人な対応をします。夕焼けに染まる都心の工事風景は、彼女のノスタルジックな気持ちを魅せているのでしょうか?
□第二話
主人公がハニートラップを仕掛けようとした教授と意気投合し仲良くなったにも関わらず、朗読した猥雑な音声を『偶然』にも、ローマ字の打ち間違いで人生もろともぶち壊しになりました。
5年後、ハニートラップの仕掛け人だったセフレと再会し、キスをして別れるところからも、今後主人公が婚約した元セフレにハニートラップを仕掛けることが『想像』できます。
□第三話
高校時代のレズビアンの彼女に再会したつもりが、『偶然』その女性が赤の他人だったことが判明。最後にはお互いの心のモヤモヤを解消し、仲良くなります。お互いを会いたい高校時代の友人に置き換えて『想像』して会話を進めていく場面は斬新というか、変な感じです笑