「数多の偶然から生まれ出づる真実」偶然と想像 古元素さんの映画レビュー(感想・評価)
数多の偶然から生まれ出づる真実
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全作品の中で「偶然」がものすごい方向に物語を揺さぶった。
1話目、芽生子の「好きな人を傷付ける自分が欠陥品のように思える」だって、様々な偶然が重なった上で導き出した答えだ。それまで苛立っていた歩を劇的に変化させるほどに。自分自身に価値を見出だしていないと、なぜ自分なんかを好いているのだろうと疑問に感じ、拒絶してしまう。自己を肯定することから、相手を想うことが始まるはずなのだ。
2話目、瀬川の「社会的な評価に惑わされず、自分の価値を自分で抱き締めて生きていきなさい。例え難しくとも。(曖昧)」も同じ。社会でどれだけ罵倒されても、社会が知ってる私は私の中のごくわずかである。その「私」を生かすための努力は努力ではなく娯楽だ。私は目一杯「娯楽」に興じたい。
3話目に関しては、偶然が知恵の輪のように複雑に絡まり合って紡がれている。お互いを知っているようで知らなくて、でも知ろうと努力をしている2人。偶然が努力を生み出し、幸福感を与えている。たまには「努力」という言葉を信じてみてもいいかもしれない。
偶然が、努力を、事実を、その他数多なる感情を紡いでいる。否、偶然の結晶が事実なのだ。その事実を抱え、自分を抱き締めて、精進したい。
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