「2人の役者が繰り広げる会話劇の緊張感が面白い」偶然と想像 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
2人の役者が繰り広げる会話劇の緊張感が面白い
偶然とはなんと恐ろしいものだろう。そんなことを考えてしまう短編オムニバス。
基本的に2人の会話劇で話が進む。タクシー、オフィス、研究室、自宅…。2人の会話で話を進めるのは映画的になかなか難しい。カメラの位置や角度、アングル等を工夫しながら構成していることが伝わった。
でも、それよりも脚本と役者陣の演技がいい。3話それぞれの雰囲気は若干違うが、緊張感のある言葉のやり取りを楽しみ、その緊張感ゆえに起こるおかしさに笑ってしまった。ものすごく舞台で繰り広げられる演劇的な鑑賞だった。2人の会話劇中心だったことにも納得。
どんでん返しほどではなかったが、少し意外な展開が待っていたことも演劇的。「ドライブ・マイ・カー」を観た印象だと濱口監督は雰囲気づくりのうまい監督と思っていたが、どうやら自分で話を作った脚本で撮るのが相性いいのかもしれない。
脚本としては、同級生と再会する女性の話、役者としては身勝手で嫌な女の役を演じた古川琴音がよかった。観た後に印象に残ったシーンやセリフを語り合いたい欲求に襲われた。誰かと一緒に観に行くことをオススメする。
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