「虚実皮膜の間」偶然と想像 太陽伝 太陽傳さんの映画レビュー(感想・評価)
虚実皮膜の間
クリックして本文を読む
上映前に濵口監督のビデオメッセージが現れ、肩の力を抜いてご覧下さい、と仰る。予告編も未見で、この題名では何やら哲学めいて自然と身構えていた者にとって、そう云われてみても……
「魔法」の冒頭、タクシーの後部座席での女性二人の長いシーン、あぁ『PASSION』の最初のシーンと同じだぁ、乗り物の好きな監督!
『天国はまだ遠い』の玄理が出てる、久し振り。そして台詞のリズム相変わらず弾み、遣り取りは自然で惹き込まれる。“三日後”またもや〈偶然〉は三人を引合わせる。
唐突な古川琴音へのズームアップ、何だこりゃ、と思っていたら、琴音の元カレであった事をぶちまける〈想像〉のシーンであって、実際は波風立てずに身を引くという場面がカットなしに続いている。あざやかな演出。
三人それぞれの役作りとその関係性が映画ならではの表現で描かれる。もとより映画はフィクションでありフィクションは〈偶然〉を織り交ぜて虚構の話を作り上げるが、その作り話と作り話の間に人間の微細で繊細で摩訶不思議なリアルが潜んでいるように感じられる。言語化は難しい。だから映画表現が……
「魔法」だけで息が切れました。
最後に『ハッピーアワー』の桜子役の菊池葉月の名前がエンドロールに音楽?担当として出ていました。
コメントする