「孤独を抱えた梅安と彦次郎が食べる「飯のうまさ」。」仕掛人・藤枝梅安 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
孤独を抱えた梅安と彦次郎が食べる「飯のうまさ」。
とてもインパクトのある「時代劇」であり、楽しませてもらった。法で裁くことができない悪人を闇で始末する「仕掛人」は、我々の勧善懲悪本能を刺激して愉快である。現実世界でも、殺したい相手がいる人は珍しくないと思う(心の中で思っているだけにしても)。そんな願望をフィクションで叶えてくれている。しかしこの作品の主人公は、表向きは正義のスーパーヒーローではなく、ただの暗殺者に過ぎない。高い報酬を得て非情な殺しをやりながら、当人は道理を弁え、人の道を大切にしているように思える。そんな人間の裏表、二面性が「仕掛人シリーズ」の魅力かもしれない。
返り討ちに合うかもしれないし、正体が知れたら殺されるかもしれない危険な稼業をなぜ続けているのかは分からない。しかしその死と隣り合わせの孤独感や悲しみのようなものはしっかり伝わってくる。梅安と彦次郎は、その思いを共有できる無二の朋友である。何も言わなくても分かり合える二人が、うまそうに飯を食う姿は何とも味がある。豊川悦司と片岡愛之助の絶妙なコンビと言えるだろう。
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