「ただ血が繋がってるってだけさ」仕掛人・藤枝梅安 ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)
ただ血が繋がってるってだけさ
彦さん今夜は泊まっていきなよ。梅安さんにはかなわねえな。コタツで横になった愛之助にそっと羽織をかけるトヨエツ。そんなメイン二人の静かなブロマンスが見どころ(なのか?)。先日鑑賞した、そして僕は途方に暮れるのクソダメ親父ぶりでシビれさせてくれたトヨエツが、今度は坊主頭と赤い長襦袢、黒の晒でぐいぐい魅了してくるのである。トヨエツが菅野美穂を抱いた後に肩を揉むシーンがめっちゃエロかったのだけど、正直、菅野へは女将の情報を得た対価としての奉仕にしか見えない一方で、愛之助にかける言葉には甘さが含まれていて、トヨエツの声が微妙にオクターブ上がってるような気すらした(個人の感想です)。
池波正太郎は剣客をちょっと読んだぐらいでこの梅安もタイトルしか知らないが、予告編のハードボイルド仕上げから期待。画面は寒々しいトーンかつ暗めの場面が多く、どこでも電気が通って夜でも明るい現代と比べて、当時の部屋の中はあんな感じだったろうとリアルに思えた。既定通りの展開ではあるものの、女を食い物する悪人の残酷な乱暴シーンなどはなく、最近のこの手の描き方のバランスとは思うけど、悪人ぶりが物足りなくもない。また、お涙頂戴の梅安の回想が何度も出るのは少しクドい感じ。
同じ時代劇としては、同時期公開中の東映の大作・レジェンド&バタフライは、まいっかとスルーなのだが、本作は、普段はハンバーグ&エビフライが好きな自分でも、さっぱりした味付けの湯豆腐やお粥でしっかり満足したというところ。京での続編も4月に観に行こうか、なあ、彦さん。
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