「人間の罪と罰について静かに問いかけてくる」仕掛人・藤枝梅安 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
人間の罪と罰について静かに問いかけてくる
客観的に見れば〝暗殺〟でしかないのに、仕掛人は優しい天使のような死神です。
亡くなる人は、ほとんど苦しむことがないのです。
拷問のような痛み(肉体が受ける罰)も悔い改める機会(精神的な罰)もありません。
ただ、この世から静かにいなくなるだけです。
起り(依頼人)と元締め(仲介人)だけが、何が起きたか知っています。死んでいく〝悪人〟も何かの裁きや報いなのだと認識する前にこの世から消えていきます。
自分が起りだったら、なるべく苦しませて、自分の行いの非道さを悔やませてから殺して❗️と願うと思います。
仕掛人のやり方は、ある意味〝救い〟ではないのか?
そんな楽な死に方をさせるなんて…
どうせなら、市中に首を晒して、私はこんな酷いことをした悪人です、みたいな立て札を立てるくらいはして欲しい。
などと考える自分が、とても卑俗的な存在に思えてくるのです。
この映画は娯楽作品ではありますが、、人間の罪と罰について、時代劇の形で問いかける、とても宗教的な一面も併せ持ったなかなかの曲者です。
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ニコさんのコメント
2023年2月4日
コメントありがとうございます。
確かに、あの成敗の静謐な感じは宗教的という表現が似合う気もします。
椎名桔平は次回役名がちゃんとつくのでしょうが、今回は「侍」役としてクレジットされていたので、そんな端役で……出てたっけ?(おまけ映像で登場)あっ出た、みたいな感じでした(笑)