「【”哀切なる殺しと、非情なる鍼。”行灯による仄かな陰影や、屋外の激烈な剣劇も趣を添えている作品。時代劇の灯を消してはならじと集結した豊川悦司を代表とする邦画豪華俳優陣の演技を楽しむ作品でもある。】」仕掛人・藤枝梅安 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”哀切なる殺しと、非情なる鍼。”行灯による仄かな陰影や、屋外の激烈な剣劇も趣を添えている作品。時代劇の灯を消してはならじと集結した豊川悦司を代表とする邦画豪華俳優陣の演技を楽しむ作品でもある。】
ー 原作は、学生時代に愛読したが、映像化作品は初鑑賞である。ー
◆感想
・梅安を演じる豊川悦司の、時に男の色気が溢れ、時に非情なる鍼を悪者の脊髄に静に突き刺す時の表情及び抑制した演技が絶妙に良い。
・物語構成も、同じ仕掛け人である彦次郎(片岡愛之助)を相棒とし、料理屋万七の女将であるおみの(天海祐希)と梅安との関係性が明らかになっていく過程を、幾つかの過去のシーンを介在させながら描いていく手法も良い。
・梅安が、万七で働くおもん(菅野美穂)と深い仲になり、内情を聞き出すシーンも艶っぽい。
ー 梅安は、後半におもんをキチンとした料理屋で働く口添えをしている。ー
・料理屋万七の先代の皆に慕われていた女将おしずを元締め田中から依頼され、3年前に殺していた梅安。だが、誰が“起こし”だったのかが、気になって行く梅安の姿。
ー ミステリー要素も効いている。”弱気な善人ね・・。成程・・。”ー
・愚かしき旗本、嶋田大学(板尾創路)が、嶋田家の家臣の妻に手を付け、更に娘、お千代まで・・。その悪逆なる行為に眼を瞑る事が出来ずにお千代を命懸けで助ける石川の姿も作品にアクセントを与えている。
ー 時代劇ならば、観たいよね、激烈な剣を交わすシーン。彦次郎も、良い仕事をしています。ー
・劇中、梅安が”最後の飯だと思っている・・。”と言いながら彦次郎と食べる食事が実に美味そうである。
ー エンドロールで”分とく山”が料理を担当していると知り、納得である。-
■何と言っても、この作品のクライマックスは、梅安が妹である、おみのと久しぶりに会った時の驚愕の表情と、過去シーンを織り交ぜつつ、純朴であったお吉(後のおみの)の金と欲に呑み込まれてしまった姿を見て、優しく抱きしめながら、首の脊髄に鍼を刺すシーンであろう。
<ご存じの通り、邦画から本格的な時代劇が激減している事は衆知の事実である。
だが、今作を鑑賞すると、矢張り時代劇は邦画にとってはなくてはならないものであるという事を再認識した作品。
4月7日公開の第二弾も実に楽しみである。>
NOBUさん、コメントありがとうございます!読破素晴らしいです!私が読破したのは柴練の『眠狂四郎』なんですー。方向性がぜんぜん違いますね。でも一度読むと燃え上がるのが時代小説ですよね!