劇場公開日 2024年5月10日

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「池波正太郎・生誕100年記念映画」鬼平犯科帳 血闘 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0池波正太郎・生誕100年記念映画

2025年1月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

鬼平こと長谷川平蔵は、1745年生まれの実在した人物だとか。
武士の息子に生まれたが、若い頃はひどい放蕩者だった。
鬼平は、今で言う凶悪犯罪を取り締まる《火付盗賊改方の長官》だった。
どの位偉いのか想像はつかないが、ともかく偉そうな役職みたいだ。

ところで、映画はいきなり若い侍風の男が不機嫌に飲み屋で酒を飲み、
盃の酒を放り投げて出ていく。
この男が鬼平の若い頃だと、やがて見ていくと分かる。
鬼平を松本幸四郎そして若い頃を息子の市川染五郎が演じている。

聞くところによると、時代劇専門チャンネルで、1話を放映後の2話が
映画化されたこの作品だとか。
道理でと言うか、途中から始まった感じは否めない。

この映画の題名は「血闘」・・・なぜ素直に「決闘」ではなく血を使い
「血の闘い」としたのか?
憶測だが、この映画の悪党が並外れていて、強盗一味の首領は一度に
押入った店の金を盗む際に、証拠を残さぬために、店主一家の幼い子供から
雇人まで一度にあるときは15人、次の押し入りでは25人を情け容赦なく殺す
極悪人だから、鬼平とその首領の攻防は血で血を洗う「血の闘い」・・・
と書くのだろうか。

鬼平は松本幸四郎がややニヤけた表情だなぁ、と思ったが、
見ていくと肝の座った豪胆な男で腕っ節がやたら強い。
剣の腕前も相当なものだが、この映画、やや狭くるしいところで
立ち回りをしている。
もう少し広々とした場所での立ち回りを見たくなる。

オールスターキャストで中井貴一、柄本明、火野正平、本宮泰風、など。
でも本筋に絡んで来るのは、火盗(盗人)の柄本明そして、女スパイと言うか
鬼平の幼馴染みで平蔵を好きだった女の“おまさ“
おまさを中村ゆりが魅力的に演じていて、この映画になくてはならぬ
ストーリーを先導していく役回り。
“おまさ“の平蔵を思う気持ちの強さ、そして美しさと度胸が、胸を打つ。
今風に言えば潜入捜査官か!
若い女が危険極まりない仕事を命からがら務める姿は、
細腕で華奢な中村ゆりだが、この映画での彼女の働きは、
惚れ惚れする女っぷり!!

肝心要の悪役。
本作では北村有紀也が堂々と憎まれ役の堀切の甚五郎を務め上げた。
押しも押されぬ曲者役者になりましたね。
ラストの平蔵と果たし合い・・・もう少し見応えある殺陣をみたかったが、
死にっぷりは見応えがありました。
また火野正平さんが遺作なのか、飄々とした元気な姿を
見せてくれて、しかと目に刻みました。

そして大ベテラン・柄本明、やはりうまさはべらぼうですね。
新感覚とか捻りとかない本格時代劇。
雰囲気が良く、とても楽しめました。

琥珀糖
えーじさんのコメント
2025年1月15日

琥珀糖さん 共感とコメントありがとうございます
"たそがれ清兵衛"まだ未視聴なのですか? もし未視聴であれば逆に羨ましいです…
"たそがれ"は黒澤監督と、はれる名作だと思います!
是非、観て下さい‼︎ 視聴後のレビュー楽しみにしています

えーじ