ひらいてのレビュー・感想・評価
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高校生の男女のカップルと一人の女子生徒の強引な行動が複雑に絡み合う。
広島国際映画祭の会場で見た。
首藤監督のトークショーもあり、ちょっとは制作過程の面白さが実感できた。あまり核心については触れられず。
そのコメントも含めて印象に残ったこと。
1.高校生の恋愛を描いた綿矢りさの小説が原作で、ずっとこれを映画化したいと長年の思いが実現した映画。
2.女子生徒2人と男子生徒1人の恋愛関係。こんなことがあるのかと思わせる展開。
3.自分でもやりたいこと伝えたいことがよく分からず自分中心的な主人公。
高校生の危ない感情、一途な思い、仮面をかぶった本心、親から逃れたい気持ち、先のことがまだ見えない不安定さ、この年代でしか経験できない感受性。2つの男女の関係、一つの女性同士の関係。一歩主人公が中に踏み入っていったことでさまざまな事が少しずつ動き出す。
中でも予告編でも出ている女子生徒二人の性的関係が衝撃的。最後この3人がどうなっていくのか。そこは見ている人に委ねられる。
たとえ側の視点を考えてみると
原作未読で、映画だけの情報を拾った感想です。
木村愛の恋は終わったといえるのでしょうか。
(原作では、たとえは振り向くことなく終わっている、とのことですが…)
暗い教室で下着姿でたとえの前に「あたしのモノになって!」と体当たりで挑んだものの、
「服着ろよ」
「暴力的でなんでも奪い取って人の気持ちなんか考えない」(父親に重ねてるのか
「離して」
しかも告白された相手に苗字にさん付け!
私なら再起不能になるかもしれない。
そして、たとえの冷酷さはこれだけじゃない。
表面的なキスと抱擁のあとに
「嬉しい?嬉しいなら態度でみせろよ」
超難題をぶつける。震えながらも口角上げる愛ちゃんに放った言葉。
「貧しい笑顔だね」
「瞳が薄暗い」
「自分のことしか好きじゃない人間の笑顔だよ」
と散々なことをぶつける。
「俺に向かって微笑みかけてみろよ」
けんもほろろにフッておきながら、
それを言うか!ここまで言われて笑えるはずないだろう!!なんと残酷!!
その時は何も返せなかった愛だが、
その後、話の展開で確実にたとえの心を動かしたポイントがある。
・毒父親を殴った
・賞もらえるハイレベルな桜の木のオブジェをつくるクリエイティブさ
・自分へのまっすぐな愛、純真さ
一度は愛の暴力さを否定したが、父親の一件で相手に立ち向かう強さが時には必要だったのだと気付かされたはずだ。
「自分に無いもの」で美雪を選んだのであれば、愛の強さや純真さも十分心を開く武器になったのではないか?
確かにボロボロの恋愛だったかも知れない。
でも、確かにたとえの心に刻まれたはず。
桜オブジェを蹴り倒した後の二人のシーン。
あのトラウマレベルの教室シーンからは対照的。
たとえの綺麗な手に包まれる愛は、メインビジュアルにもなっているが、すごく可愛くて可憐で、女の私が見てもドキッとさせられる。
たとえも、愛を見つめる瞳が素敵だった。
暗い教室でたとえが愛に放った超難題。
「俺に向かって微笑みかけてみろよ」
愛ちゃんクリアしてるし!!!
これだけの素晴らしい記憶は、愛とたとえに永遠に刻まれるはず。
それだけで、愛ちゃんは敗北じゃないと思います。
このまま美雪と仲良く東京で暮らす流れになっても、たとえと愛は特別な関係であることは変わらず、一生の思い出になるはず。
30代女。女子校で過ごしたので、このような青春記憶が私にはありません。
作間龍斗さんのことが気になったきっかけで鑑賞しましたが、それ抜きにしても、愛ちゃんを羨ましく思ってしまう程、私の記憶にも残った作品になりました。
3人と監督、今後のご活躍が楽しみです。
山田杏奈の演技力と表現力の高さ
原作は未読。
山田杏奈演じる愛の感情の乗せ方のうまさがとても良い。惹き込まれる。こーゆー奥底に何かを抱えている役が似合いすぎる。
逆に、明るい役柄の作品は今ひとつに感じる。
美雪演じる芋生悠も控えめだが、存在感があって良かった。
たとえの作間龍斗も闇深いイケメンを演じていてよかった。
観ながら登場人物の心情を深掘りしたくなった為、もう一度観たいと思う。
また、原作を読んでみたくなった。
若さは時に凶暴で…ってね
とにかく山田杏奈さんが可愛い(え)
いや、大ファンて訳でもないけど、見てて引き込まれるなぁ…と
とにかくストーリー展開が珍しい
「好きな男子の事を知りたくて知りたくてならない!」
って、若い時のアルアル
…で…結果彼女が居て…その彼女から色々聞き出したくてその子と友達になって…
アルアルやんけっっ!(๑´ㅂ`๑)
そこまでは「あるなぁ…そんなんあるなぁ…」って思いながら観てたけど、そこからがエグいね
歪んでる…というか…凶暴というか…
コレが映画【恋は雨上がりのように】で【大泉洋】さんが言ってた「若さは時に凶暴なもんなんだよ」なのかな?
しかし別れさせる手なら他にいくらでもあったろーに…あれやこれやww
そういう手段に出なかったのは、そういう手段は使い古された脚本だからか、主人公の性格が許さなかったのか…は謎
結構独占欲みたいなのが強い性格なのは見て取れたけど…
人の言葉を曲げて取るというか、難しい娘や…
登場するキャラクターの性格にもブレが無く、ストーリー的に面白かったと言える映画だった
学園モノは、学生時代にタイムスリップしたみたいな感覚で観れて好きなんだけど、この映画は、また違った感覚で観れて好きだったです。
ただ最後がな…最後の最後で、山田杏奈さんがなんて言ってたのかよく聞き取れないんだよねww
ねじれ!!
幸福度のあるなし、愛(LOVE)の達成感を、求めているのだろうか?
中村杏奈(木村愛)の詰まらなそうに満たされない表情。
「愛してる」と告げ、「うん、僕も君が好きだ」
そう言ってほしかったのか?
この世界に「愛し方を知っている人間がどの位いるだろう?」
愛はそれで満足しただろうか?
対照的に芋生遥(いもうはるか=美雪)の日常肯定的な幸福度感溢れる表情をしている。
この映画は現実を肯定的に受け止める美雪の幸せな表情と、
愛がたとえ(作間龍斗)への思いが受け止められずに、拒絶されることで、
鬱屈し不満を肥大して行く様が、実にリアルに描かれる。
「ひらいて」
この題名を作者(綿矢りさ)の意図は内心は、どうなのか?
私には愛が美雪の秘密の部分に指を挿入したシーンで、
美雪を指で犯したい・・・そう思った筈である。
美雪を壊すこと。
美雪を汚すこと。
処女膜を指で突き破ること・・・
しかし美雪は愛よりある意味で上手(うわて=強者)であるのだった。
愛の愛撫を喜んで受け止め快感さえ隠さない。
愛イコール《あばずれ》
美雪イコール《聖処女》
こう見える構図。
多分《たとえ》にも、美雪を清純で優しい女・・・そう思う価値観に落ちているが、
美雪は果たして愛より清純な女だろうか?
美雪は男が女に抱く幻想・・・女らしく、優しく、か弱い・・・
実際に美雪はそう言う少女なのか?
私には、そう思えないのだ。
現実の美雪は、愛の指の愛撫を快く受け止める、愛のキスを快く思い。
オネダリしたくなるほど正直である。
そう美雪は快楽にも《たとえ》にも素直にありのままの自分で通用する得な性格=屈折しないことで
《たとえ》の愛を素直に享受している。
美幸は愛の屈折した愛撫さえ愉しむゆとり・・・さえあるのだ。
そしてその愛の愛撫の事実をほぼ隠さずに、たとえに告げてすらいる。
愛は美幸に敗北感を覚えた。
しかしくじけない。
そこで負けを素直に認める愛ではない。
この映画の突き抜けない中途半端な復讐心。
こここそ綿矢りさの綿矢りさたる所以。
男(愛の好きな《たとえ》さえ、愛の本当の姿を認める知性は欠けている)
男は図式的なものに惹かれる・・・
分かりやすい優しさ、分かりやすい母性、分かりやすい素直さ。
それは美幸が持つ美点。
木村愛の《たとえ》への積極的アプローチは、《たとえ》に
「嘘吐いてるでしょ!!」と却下されてしまう。
愛の《たとえ》への渇望は永遠に満たされない。
木村愛の飢えを満たす男など、この世に存在しない・・・のではないか?
男女が魂の深い交換。
男女が性的接触を好まなくなって来ている世相。
女が男によって満たされる、
男が女にとって《真に結ばれることの困難》を嫌と言うほど味合う映画だったが、
この事実は実は21世紀だからではなくて、500年も前から、
《真実の愛》
そんなものは思い込みと幻想に過ぎないことを、改めて知る・・・
《男女の心のボタンの掛け違い》をテーマにしているが、実は
《男女の愛の不在》を常に描きかつ、渇望はしているのではないか?
人間は本来、
他者に自己を肯定して貰いたい。
そう思う。
山田杏奈さんが可愛らしい
愛はたとえのことが好きだった。
しかし、たとえには美雪という恋人がいるとわかって、愛はショックを受けた。
そして、愛はたとえに近づくために美雪と仲良くなることにした。
愛は美雪の初めてを奪って、たとえにそのことを話しても、たとえと美雪の仲は良いままだった。
だから、愛はたとえに自分の想いを言ったが駄目だった。
そこから、愛の生活は荒れていった。
愛はたとえを振り向かせるために美雪を利用していたと言ったが、美雪は愛と仲良くしたいと言ったという内容だった。
愛は自分の思い通りにするためには何でもする悪女だなと思いました。
思い通りにならないからって他人に八つ当たりするのは違うと思います。
山田杏奈さんの演技すごかったです。喜怒哀楽が表情に出ていてすごく良かったです。
「彼女がすきなものは」でもそうであったが、山田杏奈には惹きつけられ...
「彼女がすきなものは」でもそうであったが、山田杏奈には惹きつけられるものがある。ストーリーはシンプルであるが、演出・せりふ回しで最後まで楽しみました。
若く鋭利な愛の行く末には何があるか
【愛】を演じた山田杏奈が、本当に劇的に見事で苦しくなる。
透明感の中にある澱んだ深く暗い闇。
若く未熟で、暴力的で大胆で、馬鹿馬鹿しいほどの瞬発的な感情の爆発。
止められない高揚と哀しみの中にある飢えた欲望が、
山田杏奈の全身から溢れ出ている。
【たとえ】にはジャニーズのHiHi Jetsの作間龍斗、
【美雪】を演じたのは芋生悠。
それぞれの個性が光る配役だった。
『愛する人を手に入れられないなら、愛する人が愛する人を奪い手に入れる』
嫉妬という解りやすい方程式ではない。
嫌悪感なのか憎しみなのか、悔しさなのか惨めさなのか、愛おしさなのか∙∙∙
解毒できない感情が全身を蝕んでゆく。
この不思議な感情が素晴らしく映像化されていた。
共感できない人は全く意味不明な映画だろうが
「自分自身にもわからない もどかしい苦しさ」は
思春期に誰もが感じたことのある感情ではないかなぁ。と思う。
人の深ーーーーーーーーーーーい部分にピンスポットを当てたような作品。
愛が美雪で濡れた自分の指を映すシーンの“間”は、本当に完璧だった。
「禁断の〜」などという簡単でキャッチーな言葉で片付けるには、
勿体無いなぁと思った。
彼女の瞳はマルチバースで、スパイラルにブラツクホールへと吸い込まれていくのだ‼️❓
山田杏奈の揺れ動く感情が手にとるようにわかる、いや感じさせられる。
いもう、名前忘れた、ボートレースと樹海村の彼女、その存在感は山田杏奈と双璧。
揺れる感情と、相反して、確信たる信念、それらが交錯して、観る者を、想像を超える彼方えといざなう。
原作者のファンなので、全て読破してるのだが、今回は原作を上回る。
それは山田杏奈ともう一人の彼女の演技の賜物。
山田杏奈は、ミスミソウ以来の狂気スレスレの演技が神レベルに到達した。
今世紀最高の演技を観るために、是非。
山田杏奈の真骨頂、清楚で綺麗な作品
2021年劇場鑑賞28本目 秀作 69点
彼女の好きなものはで山田杏奈さんに興味を持ち鑑賞
個人的にこっちの方が断然好き
夕立ダダダダダッ好きすぎる、あの衣装に制服に初々しく踊ってる姿にそれのカメラワークに疾走感、尊い
大人しい女の子役の子演技良かった非常に、いるよねあーゆー子
男の子も淡々とクールで上手だった
山田杏奈さんがノート配るシーンで男の子のノートを一番下に持ってきて最後に配るの、当方あーゆーあるあるだよねみたいなカットはなんだか俯瞰から見ちゃって共感出来ないたちですが、もうグサグサに刺さった。
あの時僕にしか聞こえない音でずきゅんって、心が言うてましたわ、
是非
3回観ました!!
原作ファンでも出演者のファンでも主題歌歌っている方のファンでもなかったのに宣伝で見てからずっと気になってて、最初は原作を読まずに観たんですけど思わず引き込まれました。メインの3人の演技力が凄いのもあって周りの空気感まで変えてしまってるのが圧巻でした。
2度目は原作を読んでから観たんですけど愛に感情移入しても、たとえに感情移入しても、みゆきに感情移入しても苦しくて、人間誰しもが持ち合わせてる弱さやずるさを感じて共感しました。
3度目は映画と原作の答え合わせと最後のオチはもしかしたらこういうことだったのかなぁ?とか考えながら見てました。よくある幸せハッピーなありきたりな恋愛映画ではないので何度見ても飽きません。
少女漫画でも恋愛ドラマでも結局はハッピーエンドになることが多いのでどこか現実味がなくて恋愛系のもので今まで楽しめたことがなかったんですけどこの作品は本当に共感するポイントが多いので私は大好きです。ただ、その反面ありきたりの展開ではないため共感できない人には全く刺さらないし理解できないんだろうなって思いました。
現役JK共感できず
主人公の愛(演:山田杏奈さん)がカースト上位っていうのが現実味が無さすぎて、、
実際は愛みたいなわがままな子は人気者にはならないですよ?
ファンタジーとしてなら面白いと思いますが、今の高校生(女子高生)のリアル!みたいな評価をされているのは納得いかないですね。
この映画を高評価しているのは意外と男性が多いような気がします
腐女子がbl読んで「男の子ってこんな感じなんだー」って楽しんでる感じで
現実は違うんだけど、、っていう
「山田杏奈今年4本目」
今年93本目。
今年2月に「樹海村」「名も無き世界のエンドロール」「哀愁しんでれら」と山田杏奈3本見て今年4本目。今最も注目している若手女優です。
公開から2か月経っているので少し触りを書くと、作中のバックに流れる、すずめの鳴き声、木々の揺れる音、鳩の声など自然風景の音が非常に心地よく感じました。
この音によって作品をゆったり見れるのと同時に、作品に没入出来、凄い効果音取り入れたなあと感心するばかり。
また山田杏奈、芋井悠の体当たりの演技に魅了されました。
ありきたりな青春恋愛モノの皮を被った……
事前知識は全くない状態で鑑賞。ポスターを見て「青春ラブストーリーかな」と思っていましたが、「予想外にハードな内容だった」と多くの映画レビュアーから阿鼻叫喚が聞こえてきたので興味を持って鑑賞です。評価が高かったこともあり、結構期待しての鑑賞でした。
結論ですが、正直私にはあんまり刺さらなかったんですけど、かなりクオリティーの高い映画でした。ところどころ表現や演出や台詞が詩的なシーンがあって、「もしかして原作は小説かな」と思っていたら案の定綿矢りささんの小説が原作とのこと。やはり芥川賞作家、表現が凄い。台詞での場面や状況説明がかなり少なかったため、結構真剣に観ていないと理解できないシーンもありましたね。特にラストシーンは一瞬どういうことか分からなかったんですが、ちょっと考えて「なるほど」と納得しました。変に後日談とか差し込まないで綺麗にスッパリとエンディングに突入する映画は良い映画です。
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明るくて可愛いクラスの人気ものの木村愛(山田杏奈)は、クラスメイトで物静かな秀才である西村たとえ(作間龍斗)に好意を寄せていた。愛はたとえが人目に付かないところで誰かからの手紙を見ていることに気付く。ある日、友人グループと悪ふざけで夜の学校に忍び込んだ愛は、たとえのロッカーから手紙を回収し、手紙の差出人が糖尿病を患った陰気な女子生徒である新藤美雪(芋生悠)であり、二人が恋人関係であることを知る。嫉妬を抱いた愛は美雪に近づき、友人のふりをすることにする。
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流石、原作は芥川賞作家でもある綿矢さんの小説だけあって、登場人物の心情や言動が複雑で、尚且つ台詞での心情や状況の説明少ないため、ポスターなどから感じられる「青春恋愛映画」みたいな雰囲気とは明らかに一線を画す文学的な映画になっていました。
愛はたとえに対して恋愛感情を抱いていますが、たとえは愛の誘惑には一切なびかずに彼女である美雪を裏切るようなことは決してしない。まるで聖人のような描かれ方をしています。可愛い女子が目の前で服を脱ぎ出して、冷静に「服着て」と言える高校生男子がこの世の中にいるだろうか。いや、いない(反語)。
愛は「好きじゃなくていい」と関係を迫るシーンがありましたね。その後に、クラスメイトで友人のミカと健がラブホテルに入っていくシーンがあり、愛はそれに対して嫌悪感を抱く。ミカは健が好きだが健はミカに対して恋愛感情は無いのに、そういう行為に及んでいることに対する嫌悪感です。しかしながらそれって、たとえに彼女がいるのを知っていながら服を脱いで関係を迫った愛が言えたことじゃないんですよね。ネットスラングでいうところの「おまゆう」ってやつです。
また、ラストシーンで美雪が愛に送った手紙を読むシーンも素晴らしい。映画冒頭のシーンと繋がる演出になっていて、最後に美雪に「また一緒に寝よう」と言ったのは、美雪と友人でいたいというのを暗に示しているんですよね。
全編を通してこういう繊細な描写が多く、表現がとにかく上手い。小説的というか、文学的というか。観終わった後も頭の中で咀嚼することでどんどん味わい深くなってくるスルメみたいな映画でした。面白かったです!オススメです!!
素晴らしい以上の出来映え
綿矢りさの原作の熱狂的なファンです。ネタバレあります。
ファンゆえに当初は映画に対して少し懐疑的でしたが、度肝を抜かれるくらい良かったです。
結局は11回も映画館で見ることになりました。見れば見るほど愛着が湧く素敵な映画です。
山田杏奈さんが愛ちゃんの役で本当に良かったです。他の人なら多分文句を言ってます。
愛ちゃんは「瞳がぼんやりすすけて、薄暗い」、「刺してくる瞳」、「目が野良猫のように光る」、「目つきがすさむ」など瞳の描写が多いので、どう演じ切るのかと思っていたら、ほぼ完璧でした。
美雪に「愛ちゃんこわい」と言われるシーンでは、本当に瞳が暗くなっていて、びっくりしました。
愛ちゃんの変化の表現が秀逸です。
序盤はヘアアイロンで熱心に髪を整えて、マニキュアも塗っていた愛ちゃんですが、だんだん髪がバサバサになり、爪もボロボロになります。
愛ちゃんは心がパタパタしてしまうんですね。ずっと開いていたり、ずっと閉じていたら楽なのに。
心と体がちぐはぐで、自分で自分の人生の展開に追いつけていない様子が愛しくなります。
愛ちゃんはたとえからも美雪からも「ウソをついているから瞳が暗い」みたいなことを言われてフラれるわけですが、ふたりはちゃんとその後に愛ちゃんに対して心をひらいてあげるんですね。
たとえは愛ちゃんの顔を両手で包んであげて、美雪は愛ちゃんに手紙を書いてあげます。
愛ちゃんがその後どういう人生を歩むのかは分かりませんが、心をひらいてもらえた愛ちゃんなら大丈夫だと思わせる感じもいいですね。
たとえと美雪にしても、いつまでもふたりだけの美しい世界に引きこもり続けられたはずはないし、愛ちゃんに無理やりこじ開けられて結果的には良かったのだと思います。
私は今まで1000本以上の映画を見ましたが、個人的ベスト・ワンの地位に躍り出ました。
以下は細かい点です。ストーリーの大筋には関係ありません。
教室で制服を脱ぐときに愛ちゃんの右手が一瞬だけ躊躇する。胸のリボンに機械的に手を伸ばさない。意図的かどうかは分からないが、良い感じ。
愛ちゃんの飲むジュース。ぶどうジュース(美雪に飲ませる)、トマトジュース(家)、フルーツジュース(学校)、オレンジジュース(カラオケ)、最後が炭酸飲料。フラれて美容を気にしなくなった感じが出ていて良い。ちなみに映画館で飲んだジュースは何か分からない。
たとえに数学の問題を教えてもらうときに、さりげなく髪を耳にかきあげる愛ちゃんがかわいい。ただし原作ではピアスをしているが、映画ではしていない。優等生キャラなのでしていなくて良いと思う。
文化祭のダンスが良い。坂道シリーズの真似をしている。原作にはないが、綿矢りさはアイドル好きなので良い感じ。
愛ちゃんの瞬きが少ない。あまり目線も動かない。愛ちゃんらしくて良いと思う。
愛ちゃんの部屋に「LGBTの現状と課題」という本があった気がする。愛ちゃんが元から性的マイノリティに興味があった感じになりかねないので、これはない方がいいかと。
愛ちゃんが盗んだ手紙の枚数と美雪に返す手紙の枚数が違うような。全部返してあげてね。
橋の上で美雪に呼び止められる前と後で愛ちゃんが帰って行く方角が逆になるような気が?
まぁどうでもいい細かい点が気になるくらい何度も繰り返し見たということです。
本当に素晴らしい以上の出来映えです。この映画に出会えて良かったです。
全129件中、21~40件目を表示