劇場公開日 2021年10月22日

「若く鋭利な愛の行く末には何があるか」ひらいて 甘酒さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5若く鋭利な愛の行く末には何があるか

2022年5月2日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

【愛】を演じた山田杏奈が、本当に劇的に見事で苦しくなる。
透明感の中にある澱んだ深く暗い闇。
若く未熟で、暴力的で大胆で、馬鹿馬鹿しいほどの瞬発的な感情の爆発。
止められない高揚と哀しみの中にある飢えた欲望が、
山田杏奈の全身から溢れ出ている。

【たとえ】にはジャニーズのHiHi Jetsの作間龍斗、
【美雪】を演じたのは芋生悠。
それぞれの個性が光る配役だった。

『愛する人を手に入れられないなら、愛する人が愛する人を奪い手に入れる』
嫉妬という解りやすい方程式ではない。
嫌悪感なのか憎しみなのか、悔しさなのか惨めさなのか、愛おしさなのか∙∙∙
解毒できない感情が全身を蝕んでゆく。
この不思議な感情が素晴らしく映像化されていた。

共感できない人は全く意味不明な映画だろうが
「自分自身にもわからない もどかしい苦しさ」は
思春期に誰もが感じたことのある感情ではないかなぁ。と思う。
人の深ーーーーーーーーーーーい部分にピンスポットを当てたような作品。

愛が美雪で濡れた自分の指を映すシーンの“間”は、本当に完璧だった。

「禁断の〜」などという簡単でキャッチーな言葉で片付けるには、
勿体無いなぁと思った。

甘酒