劇場公開日 2021年10月22日

「ふわっとして掴みどころのない作品」ひらいて 藤崎修次さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ふわっとして掴みどころのない作品

2021年11月15日
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原作未読。
そもそも、綿矢りさの作品自体手にした事が無かったのだが、原作を読んでいたとしても果たしてどうだったろう?

女子2人がバイセクシャルというか両刀使い。
そういう素養があった、という一言で片付けるのは簡単だが、具体的に描かず、
そこに至るにはどんな成長過程があったのだろう? と受取り手(観客側)に考えさせる余地を広めに取っているシナリオ展開が印象的。

象徴的なのが、2人が憧れるたとえ君(作間龍斗)を含め、主要な3人がいずれも片親しか登場しないが、
もう片方の親の現状やその関係性を敢えてサラッとしか触れていないながらも、ところどころに盛り込んで来るところに「ここに鍵があるのでは?」と観る側の興味を掻き立てる。

そういう意味では観客の感受性に委ねられる作品かな、という印象。

作中のセリフにもあるが愛(山田杏奈)の眼の演技も心に残った。

それにしても、山田杏奈がレズ行為とは驚いた。しかも、下着姿にまでなってとは・・・
相手役の芋生悠ともども可憐な2人なので絵面は綺麗で良かったが、ともすれば、作品全体の評価を決めかねない重要シーンだけにイヤラしくない撮り方をしたカメラワークも含めて、あっぱれと言いたい。

藤崎修次