「すばらしかった」ひらいて 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
すばらしかった
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綿矢りささんが一貫して描く「誰も愛せない、自分本位がすぎるから」という主人公の名前が「愛」で皮肉がきつい。その彼女が「あなたのためなら両目を突ける、でも一生そばにいてね」と、相手が望んでもいないことを突き付けて自分をささげているようで結局自分のことしか考えていないのがとても厚かましくて、彼女の本質を表す。謝っている直後に、謝っている相手を批判し始めるところも非常に厚かましい。そういう人いるし、綿矢りさは見逃さない。やたらと「目が暗い」と言われて、口では何でも言えても目は嘘をつけない。恐ろしいことだ。
一方、糖尿病を抱えながらひそやかな恋愛をしている彼女は、顔が南国系でキャラに合ってないように思ったのだけど、見ているうちにそんないびつなところがリアルに思える。真に人を愛することができる感じがとてもする。
テーマのえぐいところもいいし、もうちょっと起伏があってもいいような気もするけどやりすぎもよくないので、過不足ない感じのストーリーが面白い。
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