「【理屈をこえてしまうもの】」ひらいて ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【理屈をこえてしまうもの】
綿矢りさワールドだった。
何としても手に入れたいという気持ちと、その為に実行する数々の行為をサラッと描いて、不快な気持ちとは反対に、ハラハラして先がどうなるのか気になって、引き込まれる方が勝ってしまう。
躊躇なく考えたことを実行に移し、反省などない愛の姿を演じた山田杏奈さんも、自分の感情の行き着く先を思い描くことが出来ず、浮遊感というか、所在ない美雪の姿を演じた芋生悠さんの演技もひかる。
流石に女子高校生同士の身体を重ねる場面は抑制されているが、それでも、濡れた指先を見つめて、石鹸で強く洗うシーンは、揺れ動く気持ちがよく伝わる。
軽い気持ちなのか、陥れようとしたのか、相手の心を開いて探ってみて、実は、自身の心の奥も見えてくることがあるのかもしれない。
あらためて気付く自分。
恋愛、嫉妬、計略、どこに向けたら良いのか分からない怒り、裏切り、上っ面と本音。
もしかしたら、こんな年代は、良くも悪くも色んな感情が入り混じり、心の中を渦巻き、かき乱しているのかもしれない。
そして、人を好きになるのに理屈に勝るものが、きっとあるのだ。
予想以上に面白かった。
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