「山田杏奈の黒い瞳がストーリーを牽引していく」ひらいて いも煮さんの映画レビュー(感想・評価)
山田杏奈の黒い瞳がストーリーを牽引していく
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良い映画とはいかに映像が永く記憶に残るか、でかつ、その映像からストーリー全体が思い起こされること。(私の場合です)
今作も冒頭、女生徒たちがフォーメーション組んで坂道グループっぽい曲をバックに踊る場面とか、主人公が感情爆発させて折り鶴で作られた美しい桜の木を蹴り倒す場面なんかは美しくあやうい雰囲気を出していてとても印象深い。
雰囲気イケメンって言葉を聞くけど、ときに山田杏奈さんも雰囲気美少女(?)的なところないですか?
ぱっと見そんな美しいってほどでもないけど見つめるうちに目が離せなくなり気づけば虜になってるような…。
そんな彼女だからこそ成立している映画。ときに優等生、明るくクラスの中心的存在なのに何でも手に入れてきたからこそ手の届かない"たとえ"に夢中になっていく。そして徐々に壊れていく。
手が届かないから持て余してしまった情熱が乱反射して自分でも思ってもいなかった方向に進んでしまう。シロクロ決着できない危うい10代にありがちな衝撃的なベクトルはやがて色々な感情を「ひらいて」ゆく。
冒頭に戻って印象に残った映像。
訳のわからない感情に突き動かされて好きな男性(ひと)が好きな女性(ひと)をどうにかしたくて彼女の股間に指を突っ込んでみた愛(山田杏奈)。でも、まだ本当の感情(好きっていう)が伴わないから濡れた指先をいつまでも見つめて不潔な何かであるように捉えてしまう。このカットが秀逸。語らずとも青春の痛さが伝わってきます。
同時にラストシーンに繋がりましたね。
「夕立ダダダダダッ」のBGMとともにいつまでも記憶に残ります。
ガラスペンを蒼いインクに浸して誰かに手紙を書いてみたくなりました。
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