「握手」Arc アーク ONAKAMAさんの映画レビュー(感想・評価)
握手
かなり前に情報が出てなんとなく興味が湧き、茶一郎さんのレビューにて簡単な前情報を仕込んで鑑賞。かなり座席が空いており、興行収入も振るわずでしたが、良い作品だと思います。
遺体を紐でフラストレーションする映画的な映像がとても映えていて見応えがありました。原作では文章で済ませれるものを、映像にうまいこと落とし込むのは、さすが石川慶監督だなと思いました。
作中で描かれる不老不死が鑑賞中に頭に巡っていました。自分の親や、友人、好きな芸能人の年齢を追い越したり、共に同じ年齢を生きてきた人たちがいなくなったら怖いなとゾクゾクしました。
カラーで描かれていた若い時代から一気に時代が飛び、89歳と驚きの年齢まで進みます。不老不死の処置をしたリナが89歳で自分の娘を育てるという漫画やアニメならありうる展開を、違和感なく実写化しているのでお見事です。ただ、その年齢まで辿り着く前に旦那の天音が、不老不死の処置が遺伝子の関係で、あっという間に老化が訪れ、死ぬという中々怖い展開が待ち受けていました。現実にこの処置が行われた場合も実際に起こり得るんだろうなと。絵空事では済まされないなと思いました。
利仁というおじいさんが、実際はリナの息子だったという展開も少し驚きました。あぁその展開は全然予想していなくて、お口ポカーン状態でした。利仁が母さんと呼ぶ瞬間は鳥肌が立ちました。もう少し丁寧に描いて欲しかったなとは思いましたが、十分物語に意味を持たせてくれて良かったです。
リナは最終的に「死」を選ぶ事にします。自分の息子の年齢を追い抜くってことに恐怖を覚えた結果だと思います。自分でもそっちを選ぶと思います。
「死」という単純明快な恐怖を、127分の尺を使い見事に表現していたと思います。これからも石川慶監督をリアルタイムで追っていきたいです。
鑑賞日 6/26
鑑賞時間 18:40〜21:00
座席 K-5