「脚本がダメ、音楽も違う、これじゃない!」CUBE 一度入ったら、最後 おたまさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本がダメ、音楽も違う、これじゃない!
(加筆修正)
と思うくらい酷かった。
さすがにオリジナルを完全踏襲しろとは言わないけど、各方面に忖度した結果、つまらないドラマ仕立てのうっすーい内容のオリジナルのダイジェスト版になってしまった。
サイコロ先輩は特大サイコロになってあの切り方で出血ないのはなんで?オリジナルのグロ描写が何への配慮か全く味がなくなり無味無臭に。グロが良いとは言わないながら、凄惨な死があってこそ恐怖も増すのでは?
それに音に反応するトラップは「コントロールの効かない人物」がいてこその息詰まる展開なのに、オリジナルの「彼」のような人物がいなければなんのスリルもない。トラップが発動するルールもまちまちで、それ自体がもうCUBEの謎解きとしては反則。
メンバーには数学の天才もおらず、都合よく誰かが残した設計図で謎を解いたり、殺人トラップが仲間割れしたときにうまいタイミングで仲間を分断するだけの鉄格子トラップになったり、感情によって照明が変わるのがいかにもチープだったり、トラウマの映像化とか現実みのない悪夢ショーで何がやりたいのかさっぱりわからなかった。
オリジナルではそれぞれが極限状態になったところでお互いへの憎悪を募らせて裏切ったり、また協力したりするのに、へんに主人公菅田将暉に偏った安いドラマを差し込んだため、他の人物への理解が進まなかった。唯一岡田将生のサイコパスっぷりだけが見惚れるくらい美しかった。
斎藤工は何故急いでた?紅一点の杏ちゃんは何のキャラ説明も伏線もなく最後まで存在感がなかったままで、実はアンドロイドなのかなんなのか、犠牲者のガイド役でしたーって言われてもはあ?ですよ。少年も社長も結局何だったの?
最後、菅田将暉は生き残ったようだけど、これは続編への伏線?だとしても見ないですね。
今作は脚本が本当にダメ。というか、まずサブタイトルが最高にイケてない。誰がこのタイトルを考えこの脚本を書かせたのか知らないが、本家ナタリ監督に土下座してもらいたい。
あと星野源、決して嫌いな歌手ではないとはいえ、今回は彼の出番ではなかった。エンドロールであの明かるーい、ポップで弾けそうな歌声聴いたとき、ずっこけそうになった。歌詞もなんなん?昔見たカナダの映画とか、わーきゃー叫べどとか…ラブコメならいいけど、ハッキリ言ってダサい。この人文才あるはずなのに、今作に限っては壊滅的に作品世界に合ってない。
話題性とかスポンサーとか事務所のパワーバランスでキャストや主題歌を決める日本の映画に未来はあるのか。