「作品には共鳴しないが、映画館はガンバレ!」狼をさがして Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
作品には共鳴しないが、映画館はガンバレ!
公開直後に「イメージフォーラム」で観たので、かなり忘れてしまったが、論評する価値のない、ひどい作品だと思った。
本作の韓国人監督は、文在寅のような“日本ヘイト”主義者ではないだろう。
しかし問題意識として、「共感のような感情」(マネー現代 2021.04.24)があったことは認めている。
いわゆる“敵の敵は味方”という心情だろう。
そもそも「彼らが自国の加害性に対して向き合おうとしたことは、評価できる」とし、一般の日本人はそうでないと見ている時点で、全く話にならないが、しかしこれが韓国における支配的な認識だと思われる。
ドキュメンタリーとしての質も、決して高くない。
「東アジア反日武装戦線」に3派あったことなど、情報を得ることができたが、しっかりと歴史を語ろうとしているようには見えない。
大道寺将司をはじめ、当時のメンバーはほとんど残っておらず、“支援者”など端役による無意味なインタビューが目立つ。
監督にとって“心地良い”ものだけが取捨選択されている、一面的な作品という印象だ。
というわけで、全く無視していた作品であったが、今日ニュースで「街宣車による抗議活動」があることを知った。
自分たちだけが“日本人”だと勘違いしている連中が、また騒いでいるようだ。
“反日”という言葉は、彼ら以外の意見を持つ日本人は“非国民”であるという、極めて僭越な見方の反映だ。
自分は作品には共鳴しないし、「日本の極右 vs 韓国の極左」なら勝手にやってくれという感じだが、言論の自由が侵害されるのであれば別問題だ。
映画館にはガンバレ!とエールを送りたい。
コメントありがとうございます。おっしゃるとおり、同じ「反日」と言っても意味が異なり、「東アジア反日武装戦線」が言っているのは「反“大日本帝国(および、戦後もその系譜を次ぐ者)”」であり、極右が言っているのは「反“日本人”」でしょう。街宣車の連中はどうか分かりませんが、極右も内容はしっかり見た上で批判していると思います。この作品の持つ一面的な性格に反発したのでしょうし、少なくとも自分はそれは理解できます。しかし、だからといって、言論の自由を侵害して良いことにはなりません。
私も映画はイマイチでした。それよりもimperatorさんが書かれたように、右翼の街宣車が「反日」映画だと映画館に圧力をかけたのには驚きました。作品の中で、反日の「反日」は、「反(第2次大戦中の)日本帝国主義」という意味だというナレーションが入っていたと思うのですが。内容を見ないで「反日」という言葉に反応したのでしょうか。