「なんで作ったの?」狼をさがして コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
なんで作ったの?
なんで今頃こんな作品を作るのか、何の意味があるかが気になるポイントでしたが……
いや、ほんとなんで作ったの?
旧日本軍ならびに、旧体制の日本企業がしてきた、支配環境下での仕打ちに対し、韓国で補償を求めた裁判などの社会背景を受けての、「日本でも怒ってくれた人々がいた、そのルーツをあかそう」みたいな意図は、うっすら感じはしたのですが。
浅い。
切り取り方が一方的、恣意的で、加害者側のみを追ったドキュメンタリー。
被害者については、新聞紙面を映すのみ。
すでに老齢に達した元囚人や家族、支援者たちが、老人たち特有のもったりした抑揚ない喋り方で淡々と。
長い年月と、熟考の末に出てきたにしては、躊躇いながらの、自己弁護と正当化、過去の志の賞賛……
見てて眠い。眠すぎる。
あの時代、学生運動くずれの左翼活動家が幼稚な論理で、身内の考え方だけが正義と偏向した挙句、テロに走っただけなのは既に様々な記録、証言、分析、裁判、ルポルタージュなどを通じてはっきりしているわけで。
たしかに戦時下に日本がしでかした、外国人労働者への不当な扱いは、簡単に許されるものではないとは思う。
元の感情が、優しさや歴史認識の反省から生まれる「怒り」であるのかもしれない。
けれども、どんな義憤であろうと、正義を騙ろうとも、テロの肯定にはなりません。
それを肯定してしまうと、オウム真理教や、911すら正義になってしまう。
戯言(ざれごと・たわごと)だ。
またドキュメントフィルムとして考えた時、編集も単調、社会的意義も薄く、主張を読み取れといった作り方は不親切だし、質の低さ・稚拙さに、純粋に「つまらない」としか感じられなかった。
上映に対し抗議をした団体がいたようだが、これ本当につまらないので話題になって広がるとは思えず、下手に騒がずほっといたほうがいいんじゃないかと思いました。