「余白」狼をさがして taroさんの映画レビュー(感想・評価)
余白
静かな映画であった。
途中何度か寝かけた。
つまらなかったわけではない。
DVDが出たら買おうと思っている。
映画は、主人公とも言うべき「狼」のリーダー・大道寺将司が登場することなく、彼の獄死によって不在のまま終ってしまう。主な登場人物は、服役中の爆破テロ犯の支援者の方たちであった。彼・彼女らの日常や語る言葉が、霧のかかった(釧路の?)風景と共に映されていく。そこには、中心もなければ、起承転結もない。
明確なメッセージが立ち上がってくることはないが、鑑賞中は自分の中で言葉がむずむずしていることに気付く。その言葉もまた、はっきりとした意見や主張にはならいのだが、このむずむず感は大切かもしれないとも思った。
「暴力(テロ)はいけない。だけど……」「戦争犯罪に頬被りするのは許せない。だけど……」敢えて表現すれば、この様な言葉になるのだろうか。「暴力はいけない」「戦争犯罪に頬被りするのはいけない」等の、分りやすい主張から零れ落ちる何かが、この映画では喚起されるのかもしれない。
中心も起承転結もメッセージもないが、それらの余白において何かが生まれるような予感を感じさせる映画であった。
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