「とんびだからこそ鷹を生んだと思わせてくれた親子の物語」とんび 中野祐治さんの映画レビュー(感想・評価)
とんびだからこそ鷹を生んだと思わせてくれた親子の物語
父と子の深い絆を描いた感動作
私にとって、この物語は自分自身の人生を振り返るような心に染み入るものでした。
安男の不器用ながらも一途な愛情に自身の親としての姿を重ねてしまう瞬間が何度もありました。
無骨で感情を表に出すのが苦手な安男の姿は決して完璧ではない。
しかし、彼の行動の裏には常に息子への深い愛があり、それが時には不器用さとして現れることに強く共感しました。
映画の中で描かれる昭和の温かみある風景や人とのつながりが深いコミュニティの描写が懐かしさを駆り立てると共に現代では忘れがちな人間関係の大切さが描かれているなと感じました。
安男を支える周囲の存在が、父親としての孤独や葛藤を和らげる重要な要素としていい影響を与えています。
子どもへの愛情がどのように形となり未来へとつながるのかを教えてくれる作品です。
とんびとは言え愛情を内に秘めた一人の素敵な父親だからこそ、周囲の手助けを得られ、鷹として育てることが出来たのだろうと思わせてくれました。
ベストセラー作品のように時間が経っても心に残り続ける。
いつの時代になっても観たいと思わせてくれる温かい物語です。
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