「悲しみを全て呑み込む「海」になっても・・・ヤスの背中に涙する。」とんび 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
悲しみを全て呑み込む「海」になっても・・・ヤスの背中に涙する。
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阿部寛の演じる市川安男と言う男は、妻・美佐子の喪失から一生立ち直れなかったのではないか?
「あんなに好きだった」
「命を懸けて愛した」
その妻を失ってしまった!!
ヤスの心には慟哭がある。
(ヤスは自分で気がついていないかもしれないが、
(アキラを心の底では、恨んでなかっただろうか?
(妻を奪った存在なのだから・・・)
ヤスさんは酒に酔い、酒を飲み、そして酒に呑まれる。
彼の寂しさが、居た堪れなく悲しい。
ヤスは片翼をもがれた飛行機、
だからいつもバランスがとれない、
だから喧嘩早くて、
殴り、殴られて、
撃沈する。
片翼のヤスがなんとかバランスをとって父親として飛び続けられたのは、
身近な人々の優しさ。
友だち夫婦が、
その父親の和尚が、
飲み屋の女将が、
職場の同僚が・・・
みんなして
《アキラを育てた》
《アキラを守った》
令和の今なら考えられないこと。
和尚の言葉、
『ヤス、おまえは海になれ!!
すべての悲しみを飲み込む、海に』
その言葉に、
同じくチカラ付けられる私もいた。
多くの母を早くに亡くした子供へ!!
そして早く妻を喪った夫へ!!
この映画には、慟哭がある。
(阿部寛は、男の背中で悲哀を演じて秀逸だった)
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