「生々しい体験」アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン ヨコヨコさんの映画レビュー(感想・評価)
生々しい体験
不勉強でアレサ・フランクリンを知らなかったが、宣伝を見た時点で鑑賞することを決めていた。何か不思議な人を惹きつける力によって映画館に足を運んだ。その勘は当たりだった。
他の人のレビューで知ったが、長くお蔵入りだったものが、技術の進歩によってやっと編集・公開出来たのだとか。映画会社が保管してくれててよかったね……。
さて、覚悟はしてたが何せ現代の綺麗な映画に慣れた目にはこの映像の粗さ、少々きつい。しかしそれも僅か数分のこと。決して広くはない教会に聖歌隊、続いてアレサが登場。人々のざわざわした喧騒やカメラの前を平気で動き回るスタッフ(笑)臨場感といえば聞こえは良いが、生々しすぎて面食らってしまう。そして彼女の唯一無二の歌声。あっという間に1970年代のアメリカに連れて行かれてしまった。
そこからは「本当にプロか?」と思うほどのカメラワークのブレ、ボケボケのピントもむしろ、味になって気にならないほど。現代の観客すらも当時の教会にいる気分にさせられるアレサの歌声の力強さ。これが50年前の歌声、映像だろうか?信じられない。
無事アメリカ遠征ライブを味わえた。そう、客席で遠慮がちに参加していた、ミック・ジャガーのようにね。
彼女の歌声もだが、私はクリーブランド師の歌声にもまいってしまった。黒人男性の分厚い真綿のような声に、弱いんだなあ。チャーミングで素敵だった!
それにしても、聖歌隊は立って歌うもの、という固定概念は打ち砕かれました。自由でいいんだね。
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