「ラッセル・クロウでか過ぎ」アオラレ どすこいたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
ラッセル・クロウでか過ぎ
原題「Unhinged」=ヒンジ[蝶番]の外れた=社会から切り離された=無敵の人。私はそう解釈しました。邦題は「アオラレ」ですが、このテーマで映画を撮るなら煽り運転である必然性はなかったのかな?と思いました。実際、半分くらいは車から降りて凶行に及んでいます。
「アオラレ」という邦題はだいぶ身近(当時、日本でも煽り運転問題が話題になりました)に感じられて興味を引きますが、中身はというと、「無敵の人」の無敵っぷりが半端ない!冒頭、社会情勢がどうとか言ってましたが、これほど完璧な無敵の人が出てくる理由付けになってません(笑)どれだけ社会が乱れてても、もう別次元。
この映画の教訓は、いつどこで無敵の人と出くわすか分からないので、お行儀よく生活しましょうね、ということかと。本作の一番大事なところは、追われる身となってしまったレイチェルとの初対面時、無敵の人は割と紳士的だったということ。「クラクションの鳴らし方が良くないね。謝ってほしいな。」と、穏やかに接しているのです。素直に応じれば良いのに挑発的な態度を取るレイチェル。映画に込めたメッセージを伝える良い場面でもあると思うのですが…そのせいでレイチェルに感情移入しきれないところがあったのがちょっと残念。
多分、この無敵の人がただのネジの外れたおっさんだったらここまで怖くは無かったでしょう。人を心理的に追い込む方法を知っていて、きっちり実行に移していきます。じわりじわりとレイチェルを恐怖のどん底へ叩き落としていく様は圧巻です。
ラッセル・クロウの迫力の演技と、迫りくる無敵の人が運転する車の恐怖。更には狡猾な手口で追い込まれる絶望感。「アオラレ」という邦題はちょっと勿体ないことしてるんじゃないかな?と思うくらいの秀作でした。…でも集客に成功してるからいいのか(笑)