「アオっているのは・・・日本の配給会社でしょ」アオラレ カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
アオっているのは・・・日本の配給会社でしょ
映画の冒頭で歪んだ格差社会が産み出したさまざまな事件の映像を見せる。惨殺、放火の後、結婚指輪を外し、後部座席にポイ。その後、冷静かつ大胆に犯行を重ねてゆくさまが吹っ切れていて、快感。馬鹿ぢからだし、うんと恐い。ラッセル・クロウ。根っからの悪人じゃない感じ。そこがいい。適役。
愛あるクラクションが大切。
ラッセル・クロウ扮する男の言ってることは正しい。
しかし、自分のことは棚にあげて、自分に酔うタチの説教魔のおデブさんをムダに刺激しないように気を付けましょう。あと、スマホは肌身離さず。
アオリ運転というよりは執拗なストーキングとカーチェイス。奪ったスマホ、GPSの使い方がプロ級。プリペイド携帯を替わりに置いておくなんて、計画的。次々に残虐な暴力に直接訴える。小気味よいほどに。
レィチェルも鼻っ柱が強い。
離婚協議中。寝坊。子供を学校に送って、お得意様からキャンセルされて、イライラ。ガソリンスタンドでは給油したまま、離れるし、財布をクルマのルーフになんとなく置いてしまうし。ウカツなのよ!世間を舐めきってる感じの美人ママ。アラ(隙)が目立つ。ファミレスで朝から弁護士相手に気晴らしデート? 男の弁護士に対する怨みが一気に点火するファミレス場面。妙にシンとした空気。SNS時代の臨場感。
妻帯者は離婚し、財産がある場合はなるべく現金化してどこかに隠して、社会に対する怨みを晴らすべく、自暴自棄になって大暴れしましょうと煽っている映画ではないと思うけど、真っ向から否定もしない感じ。警官もサラッとしている。
邦題「アオラレ」は狙ってる。とてもキャッチー。でも原題 Unhenged の意味はそうじゃない。ラッセル・クロウが、「アオッてんじゃね~ おまえが言うなっ」って、予告編で日本語でひとりでツッコんで、ボケるんだけど、煽ってるのは日本の配給元ですから~ 斬り。