劇場公開日 2021年5月28日

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「予定調和を絶妙にかわした惨劇が爽快!どこにも無駄がなくソリッドなきっちり90分のB級スリラー」アオラレ よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0予定調和を絶妙にかわした惨劇が爽快!どこにも無駄がなくソリッドなきっちり90分のB級スリラー

2021年6月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ルイジアナ州ニューオリンズ。ヘアスタイリストのレイチェルは離婚協議中の夫とは別居して15歳の息子カイルと2人暮らし。カイルを車で学校へ送り届ける途中渋滞に捕まってしまったレイチェルは目の前に止まっているピックアップトラックが青信号になっても発信しないことに苛立ち思わずクラクションを鳴らして追い越しをかけてしまう。あとを追ってきたピックアップトラックのドライバーはレイチェルに運転マナーがなっていないと因縁をつけ謝罪を求めるが、レイチェルは毅然と拒絶。その態度にブチ切れたドライバーはなおもレイチェルを追い続け・・・。

これは面白い!『激突!』、『ヒッチャー』、『ブレーキ・ダウン』といった同系統の傑作スリラーが敷いたお約束に忠実に進行すると見せかけて、要所要所で観客が期待する予定調和を裏切ってくる攻めた展開が非常にスリリング。冒頭でこれから起こる惨劇の序章をさりげなく凄惨に暗示しつつ、ヒロインであるレイチェルが実はちっとも善人ではなくて何もかもが因果応報であることも見せているので『フォーリング・ダウン』で感じたような感情移入も持ってしまう辺りの誘導も憎い。オスカーの主演男優賞を獲った『グラディエーター』から体重が倍増したラッセル・クロウの怪演が他の役者を完全に食ってしまっているので、終幕後におかわりしたくなるくらい濃厚な印象を残します。そして物凄くさりげないんですが、物語の終幕を飾るのがアノ曲のカバー・バージョン。訳詞が表示されないのが残念ですがしっかりと今観終わった物語にそっと寄り添う選曲に唸りました。ラッセル・クロウの体格とは裏腹にどこにも無駄な肉がついていないソリッドな90分に大満足です。

よね