劇場公開日 2021年5月28日

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「クラクションを我慢する勇気も必要」アオラレ フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

クラクションを我慢する勇気も必要

2021年6月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

クラクション鳴らして怒られる話

ラッセルクロウがこんな巨漢に!
予告編を見た時から期待はしてないけれど、こんな姿になったラッセルが見たくて鑑賞しました。
「ナイス・ガイズ」でもあれ?ラッセル一回りデカくなってね?とわおもってたけれども、本作はさらにデカくなってる気がする。
もはやジョングッドマンなみの巨躯ですよ。

ラッセルは色んな役を演じてきましたが、今回のサイコっぷりはなかなか見ごたえありです。
冒頭のセリフのない3~4分のシーンは怖いし、ラッセルの目つきがもう凶悪すぎてもしかして良作かもと思いましたが、残念、普通の映画でしたね。
予測不能ってほどでもないし、主人公を同情する気にもあまりなれない。
現代社会はだれもがストレスを溜めていて、いつ爆発するかわからない。その爆発に巻き込まれた人の話なわけです。

ストレス社会の爆発映画としては「フォーリングダウン」がありますね、コメディのようなシリアスのような映画でしたが最後はちょっと切ない余韻に浸れる映画です。
よきせぬ相手の感に触って大変な事になるといえば「ヒッチャー」もありますね。これも不気味な余韻がある。

しかし「アオラレ」余韻とかない、事件解決で終了、思いを巡らすまでもない。共感とか同情とかがわきずらい作品だったように思います。
映画終わってエンドテロップ流れた瞬間に私の見ていた劇場では9割くらいの人が速攻で帰ってました。
その気持ちはわかる、だって盛り上がりとかスリルが足りないんだもの。

ラッセルはもう破らかぶれで犯行をしてるし、主人公は逃げ切れる状況が何度かある。
そもそも、時間が解決する話なので(警察的な意味で)あんまり緊張感がないんですよね。

真昼の都会で人も多いはずなのになんだか登場人物が少ない、一般市民が記号的でしかない。
都会の人は他人事には無関心だからまあ表現的には問題ないのかもだけど。

警察が捜査し追跡するよりも早く犯人は行動してるわけで、犯行から逮捕までの時間は決して短くない。
その短くない時間で追われる主人公はさぞ怖いでしょうが、映画を見てる私はその時間が理解できずにスリルを味わえなかったのかもしれない。

「ウトヤ島、7月22日」って作品がある。平たく言うと夏合宿の島でテロが起きて警察が来るまで地獄のかくれんぼをする話。
この作品は上手に警察が来るまでの時間がスリルとして使われてた。大変怖くて面白い映画だ。実際の事件を基にした映画だから面白いは不謹慎だけれども。

「アオラレ」は「激突」と「ヒッチャー」の要素を受け継いだ作品のはずなのに、良作のいいところを省いたような印象です。
ラッセルの見るも無残な体系と狂気演技を見るためと割り切って鑑賞するのがいいかと思います。

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劇中セリフより

「本当の不運を教えてやる」

不幸は教えるより共感して助け合った方がいいですね。
明日は我が身、お互い様の精神で日常を乗り切れればいいのですが…

フリント