劇場公開日 2021年9月17日

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「がっかりメロドラマ SF風味を添えて」レミニセンス alphaさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0がっかりメロドラマ SF風味を添えて

2021年9月20日
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ディカプリオと渡辺謙出るの?
兄ノーランが作ってなかった?
なんてツッコミを入れたくなる地雷臭しかない広告を観て、もう期待値は爆下がり。怖いもの観たさで観賞。
しかし、結果として、それを上回るがっかり感で終わった。

まず、日本版の告知はほぼ嘘。記憶に潜入などしない。reminiscenceには追憶といった意味しかなく、その意味では本作を正しく表している。劇中では、被験者の記憶を読み出し可視化する装置をレミニセンスと呼称して、それを観ることで話が進行していく。映画化もされた漫画の「秘密」が近い発想であり、インセプションとは全く異なる。
だが、潜入という言葉やジョナサン・ノーランの名前を出して、インセプションを彷彿とさせる広告は、明らかにミスリードを誘う悪意が感じられる。自分は、広告を観た段階でこの地雷臭に気がついていたが、騙されたと思う観客も多いとは思う。

絵作りは、どこかで観たようなシーンの連続で単調。水没した街並みも、さして綺麗とは言えず、あまり印象に残らない。可もなく不可もなくというところ。
水上を走る列車は、千と千尋からのオマージュらしいが、何の為のオマージュなのか意味がわからない。

脚本は、記憶を再体験させることを生業とする主人公が、失踪した恋人探していたら黒い過去が明らかになり、さらに調べたら人助けの為に死んでました、というオチ。最後、主人公は原因になった悪党を廃人にしたり、親玉を警察につきだして、本人も機械を使って幸せだった頃の記憶に溺れて廃人ハッピーエンド。
全体通して、どこかで聞いた様なエピソードが続き、全く面白みがない上にテンポもわるい。

途中、こじつけたようなアクションシーンが入り唐突に同僚が悪党たちを皆殺しにして主人公を助ける。一応、検察と仕事するような全うな会社だと思っていたのに意味がわからない。SFだから派手なアクション必要だよね!って安直な発想があったことが容易に想像できる。

主人公は、基本的に頭が悪く、戦闘スキルもなく、仕事の最中でも他の業務そっちのけで恋人を探すほどの馬鹿なので簡単に敵に捕まったり、観ていてイライラする。

敵も、ドラッグを取引してるアジア系のギャングとか、汚職警官とか、金持ち地主のボンボンとか既視感の塊。捕まえたりしても、全然カタルシスがない。

もう少しSF感があるかと思ったが、レミニセンスの装置シーン以外、そんな要素はなく、むしろ木の小舟で海渡ったり、西部劇宜しく二丁拳銃乱発したりと、センスが古臭い。

演技としても、ヒュー・ジャックマンを始めとして皆頑張っているとは思うが、脚本がわるいのか演出が悪いのか、どうしても印象に残らない。ローガンは良かったのに。。。

結局、脚本、演出から絵作りまで、全体的に思慮が足りない。ただ、記憶を可視化できたら、という子供でも考えるアイデア頼りの駄作。
駄作フリークスにはうってつけの一作。

alpha