「アニメになってもやっぱり「クー!」」クー!キン・ザ・ザ よしえさんの映画レビュー(感想・評価)
アニメになってもやっぱり「クー!」
今や伝説と言っても過言ではないカルトムービー『不思議惑星キン・ザ・ザ』を、監督自らアニメとして作り直した作品。
原典である実写版と比べると、メインの二人のバックグラウンドが変わっていたり、いくつかの変更点があるものの、大筋はそのまま、相変わらずシュールなディストピア物語であった。
実写版では役者が演じることによりどうしても不自然さが出てしまい、それが予期せざる可笑しさに繋がったりもするのだけど、アニメとして全ての画がコントロール下に置かれたためか、本来描きたかったであろうストーリーの骨格がより分かりやすく見えるようにもなっている。カリカチュアライズされた現実の不条理性が、実写版と比較してよりストレートに浮き上がって見えてくるのだ。
また、おそらくは予算の都合だとか技術的な問題で実写版にはいなかったロボットがアニメで追加されることにより、話の流れがきれいに整理されているところもある。異星人がよりはっきりと異星人らしく描かれ、キャラクターの役割によってはっきりと区別された描かれ方になっているところも良い点だと思われる。
基本的に同じ話を実写とアニメの2回作っているわけだから、どうしても比較してどちらが良いか、どちらが好きかという話になってしまうとは思うが、わたしはどちらも好きだ。実写版にはあまりのシュールさと意外にもよくできた特撮の魅力があり、アニメにはこれも想像以上によくできた絵や動きの美しさと、洗練されより風刺が分かりやすくなったという長所がある。互いに補完しあって魅力を高めているという見方もできるので、やはり両方とも見てみるのがベストだと思う。
さあ、最後に皆さんご一緒に。「クー!」