「成れの果て。」走れロム bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
成れの果て。
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「滅多に起こり得ない事で、それが起きなくても大勢に影響は与えないモノ」は無視できる。「滅多に起こり得ない事だが、それが起きてしまうと致命的な危害を及ぼすモノ」には対応すべき。
と、これは統計学者のJ.S.ローゼンタールの言葉。だから自動車保険には入るけど宝くじは買わないし、揚陸艦は要らないけど敵のミサイル基地攻撃能力は必要。
数字くじのデーはロトの簡易版なんで、ベトナム戦争時に持ち込まれたものと思われ。スラムの人々にとって「当たらなくても大勢に影響は無い」と言うモノでは、既に無くなってるってところから、「もう、終わりだよ、この人達」と言う印象しか湧いて来ないんです。
借金苦から掛けに手を出す。
コレはアカンです。故に、登場人物の誰にも共感できないし、肩入れも出来なくて。僅かばかり(と言い切れる)金を巡ってイザコザを繰り返すロムとフック。騙し、盗み、裏切りの連射砲。
ラストでチラッと「人の暖かさは無くなってないから」と来て、「遂にロムは親を探し当てて長距離バスに」的に終わるんですが、心にササナミも立たず淡々と眺めてしまいました。
共産党一党独裁(御多分にもれず)のベトナム。当局の検閲は受けたとは言え、コレは攻めてるなぁ、ってのは思いました。
息苦しかった。
人々のドロドロと振りと愚かさは、結構好みだったし、映画としてのクオリティ、暗さがクールな印象を与える撮影、室内と外の明暗を対比させる照明、言葉足らずの脚本、全部好き。
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