「Ouch. Life is good.」ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
Ouch. Life is good.
ビリー!ビリー!ビリー!あちこちから彼女を呼ぶ声。アイコニックに叫ばれる。それはまるで『ビリー/スター誕生』とでも形容したくなるような、ビリー・アイリッシュという現象。彼女は曲を書くのが大嫌いで、ライブをすることは大好き。憧れの人ジャスティン・ビーバーへの想い、彼に対するエピソードが本作の中でも度々出てくるが、僕たち観客もまたビリー・アイリッシュに対して同じような気持ちを抱いていく。そんな作品。
十代の肩には重すぎる荷。売れて有名になっていくにつれて絵に描いたようにズレていくボーイフレンドQとの関係、全力でパフォーマンスするがためにアスリートのように絶えない怪我。また、いつでも愛想よくスター然とした対応を求められる周囲の期待にパブリックイメージや心無い批判にさらされ疲弊していく。擦り減っていく。その中で彼女は本当によくやっていると思った。そうして、どれだけきらびやかで非現実的な世界に身を投じても、理解ある親や家族、犬は変わらない。地元での生活を大事にするかけがえのない一時、日常。140分はやはり長すぎる気もしたけど、見終わった後にはその価値があったと思える。
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