「宮本信子が最高」メタモルフォーゼの縁側 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
宮本信子が最高
芦田愛菜と宮本信子というキャスティングが絶妙に良かった。特に宮本信子のチャーミングさ。何かに夢中になっている人というのは、それだけで魅力的に見える時があるのだけど、年を重ねても何かに熱中できるというのは素晴らしいことだなと思う。BLにのめり込めばこむほど、宮本信子が生き生きとしてくるのだけど、実際、新しい趣味に目覚めた時の、内から湧き上がってくる不思議なエネルギーってあると思う。本作は、そういう不思議なエネルギーを描くことに成功していると思う。
ものつくりの情熱と、作ったものを世に出す時の不安感もすごく丁寧に描かれている。漫画家になりたい芦田愛菜演じる主人公の不安と、彼女が憧れるプロ作家の悩み。同人文化の良さは「好き」という感情だけで何かを発表できること。それが誰かに伝わり、上手い下手を超えたところで刺さるかもしれないこと。そういう奇蹟みたいな科学反応が起こるのが同人の世界だけど、その素晴らしさも愛情深く取り上げられているのも素晴らしかった。
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