劇場公開日 2022年6月17日

「二人の女優の存在感が、小さな奇跡に血を通わせる」メタモルフォーゼの縁側 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5二人の女優の存在感が、小さな奇跡に血を通わせる

2022年6月18日
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内向的な女子高生と、好奇心旺盛な老婦人の友情物語には、違和感どころか、説得力さえ感じられる。それは、自分にないものを補い合えるという居心地の良さを、二人の女優が、しっかりと体現しているからだろう。何よりも、二人が、好きなことを夢中で語り合うシーンには、この上もない幸福感が満ち溢れている。
自分で漫画本を作るという無謀な挑戦や、憧れの漫画家との偶然の出逢いなど、小さな冒険や、小さな奇跡が、小さな出来事のままで終わるのも良い。これが、「漫画家のアシスタントになれました」みたいな話になっていたら、ご都合主義に興ざめするしかないだろう。
メタモルフォーゼといいながら、漫画家を目指すとか、大学に合格するとか、恋人ができるとかいった、見た目の変化は何もない。だが、かけがえのない人との出逢いが、人生の宝物となり、それによって内面が豊かに変化したのだということは、はっきりと感じ取ることができる。
エンドロールのデュエットを聴きながら、ほのぼのとした余韻に浸ることができた。

tomato