「【”自分の大事なモノを大切にする。”BL好きな(けれど、人に言えない・・)女子高生とBLに嵌った老婦人との素敵な交流。壁が幾ら高くても、目標に向かって努力する大切さを軽やかに描いた作品。】」メタモルフォーゼの縁側 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”自分の大事なモノを大切にする。”BL好きな(けれど、人に言えない・・)女子高生とBLに嵌った老婦人との素敵な交流。壁が幾ら高くても、目標に向かって努力する大切さを軽やかに描いた作品。】
ー 芦田愛菜さんが、目標をナカナカ持てずに日々過ごす女子高生うららを自然な演技で魅せ、偶然BLに嵌った老婦人雪を、宮本信子さんが熟練の演技で魅せる。
二人がふとしたきっかけで、交流していく姿を、自然に描き出している。-
◆感想
・「君のことだけみていたい」というBL漫画を”絵が綺麗・・・”と偶々書店で手に取った雪がドンドン、BLに嵌って行く姿。
自らもBLが大好きなのに、隠しつつ書店でアルバイトするうららが後押しし・・。
芦田愛菜さんの控えめながら、優しき心が滲み出る姿や、宮本信子さんが、邪気の無い笑顔でBLの楽しさを語るシーン。好きなモノが同じであれば、歳の差なんて関係ないよね。
ー 好きな本や漫画の新刊を待つ楽しさ、漸く手元に届いた時の嬉しさは、良く分かるなあ。数年前から本や本屋で、CDはCD店で買うようにしてから、その思いは強くなったからである。-
・雪がうららに、”漫画書いたら?”と促すも、”才能がないから・・。”と寂し気に呟くうらら。
だが、幼馴染の男の子(良い奴である。)のガールフレンドが、アメリカ留学をする事を聞き、勇気をもって漫画をコミケで売るために、自ら漫画キットを取り寄せ、漫画を描き始める姿。
ー この作品では、雪は書道の先生をやっているが、そこの生徒が書く言葉が、各シーンを的確に表している。ちなみに最初は「憂鬱」である。ー
・コミケサイトを勇気を出して、予約したうららが、独り会場に来て遅れてしまった雪が来ない事もあり、必死に書き上げた「遠くからきた人」を売る勇気が薄れ、店を出せずに肩を落としているシーン。
ー けれども、雪は会場近くで、”ある人”と偶然会っていた。”宇宙人の配慮”だろうか・・。上手い脚本である。-
・「君のことだけみていたい」の漫画家、コメダ優も、実はスランプに陥っている姿が、さりげなく描かれる。
ー 漫画界の熾烈さは、幾つかの本と、映画で言えば「バクマン。」で知った。-
・コメダ優のサイン会で書いて貰った「君のことだけみていたい」の二人のWキャスト、咲良と佑真の絵を嬉しそうに、見せ合う二人。
ー うららは押しが弱い咲良を。雪は押しが強い佑真を書いて貰っている。成程。-
・この作品には彼女達をサポートする善なる人々が多数登場する。
これが、この作品の爽快感の醸成に寄与している。
<今作は、やや内気で自分の未来に自信が無かった女子高生うららが、不思議な縁で老婦人雪に出会ったことで、自らの内面を少しづつメタモルフォーゼしていく様を、芦田愛菜さんと宮本信子さんが流石の演技で魅せる。
壁が幾ら高くても、目標を持って、それに向かって努力する大切さを描いた作品でもある。