THE FIRST SLAM DUNKのレビュー・感想・評価
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原作が強すぎる
連載当時から追っかけてた世代です。
山王戦という最高の題材を使ってやることだったのだろうか…というのが全体的な感想です。
■よかったところ→
・原作より葛藤が見れて、高校生なんだなと再認識できた
・みんなが動いてる!
■しんどかったところ→
・りょーちんが主役だがりょーちんの強さが伝わってこない 宮城はもっといい選手です!!
・湘北の山王戦にかける緊張、山王の強さが伝わらない ゴリは急にピンチだし堂本監督は湘北を舐めてかかってるし沢北は前半空気…
・りょーちんの回想と試合とのつながりがわからなかった 辛い過去を抱えないと人は強くならない?感動のために死を消費した感じがつらかったです 思い出してイライラしてきた 物語としてあの過去はまじでいりますかね????
・試合が盛り上がるかと思ったら回想、の連続
曲で疾走感を大事にしたんなら止めるなよ…!(これは告知勢に対する皮肉です
スポーツが上手ではないので選手目線で見れず、試合の面白さが分からず終わってしまいました
・スローモーション多用しすぎ 見せ場だよの表現がワンパターンで、最後の最高のシーンなのに、またかよ…と萎えてしまいました。。。。。。
・桜木が強そうすぎ
・リアルな試合感を見せるなら、やっぱり声優さん変えない、もしくは早めに公開して慣れさせてほしかった 試合中の声掛けシーンで誰に呼ばれてるのか分からん リアルな試合だって、チームメイトの声だけでわかるって大事なのでは?
・中途半端にみんなにフォーカス当てた事で不完全燃焼 やるならりょーちんに集中するか、回想を削ってもう少し深掘りして欲しい
めちゃくちゃ書きました。。
やっぱり大好きな山王戦が不完全燃焼で描かれたのがな…もっと面白いのに…!!!
原作を読む人が増えて欲しいと思った鑑賞体験でした。
【折れない心、最後まで諦めない心。そして各々が再生する姿を描く。原作の傑作バスケ漫画に比肩するレベルのアニメ化作品。バスケシーンの高揚感と、オリジナルストーリーの融合性が素晴しき作品でもある。】
ー 直前まで一切の情報が出されずに公開された異例の作品であるが故、不安と楽しみとが綯交ぜになった気持ちで劇場へ。
結論から言えば、この作品は従来の原作漫画のアニメ化とは一線を画した傑作である。
劇場を出る時の、高揚感と、満足感を久しぶりに味わった作品でもある。-
◆感想
・今作では、原作では比較的スポットライトが当たらなかった、高速ドリブラーの宮城リョータの沖縄を舞台にした、小学生からの彼の成長していく物語が、山王工業高校と、湘北高校戦と絡めて描かれて行くのだが、この作品構成が絶妙に良い。
<2023年1月26日 追記>
■リョータが亡き兄と、沖縄でワン・オン・ワンでバスケットを楽しむシーン。
ー 初回鑑賞時には何となく違和感を感じていた、バスケのボール及びリョータと亡き兄の服装の色合い。
昔のシーンなのでセピア色にしているのかな、と思ったが、あれは、2020年1月にヘリコプター事故で急逝したコービー・ブライアントが所属していたレイカーズのユニフォームの色ではないかと思った。
そして、多くの人が連載終了後に”何故、今、この傑作漫画をアニメにするのか?という疑問も氷解した。”(私の勝手な意見です。)
バスケットのスーパーヒーローの突然の急逝。
そして、その三カ月後に突如世界を襲ったコロナ禍。
井上雄彦氏はそのような閉塞感を打破するために、この作品を今だからこそ製作し、公開したのではないかと思ったのである。
”折れない心、最後まで諦めない心”を観る側に届けたいのではないかと思ったのである。-
・海難事故により、哀しみを抱えた宮城リョータ一家が、湘北高校のある神奈川に越して来て宮城の母は、哀しみに堪える日々を送っている。
ー 山王工業高校と、湘北高校戦のバスケのスピード感と圧倒的迫力との対比が、とても良いのである。-
・更に言えば、原作では細かく描かれていた、中学時代は県MVPだった三井が、膝の怪我により荒れていたシーンを含め、夫々の選手の過去が試合途中に絶妙なタイミングで、カットインしてくる構成にも舌を巻く。
試合の緊張感が途切れることなく、それらのシーンが描かれているからである。
・山王工業高校と、湘北高校戦の試合の流れは、原作とほぼ同じで進むが、元々原作のバスケットシーンの絵がハイレベルの巧さで有ったが故に、映画化された事で、更にスピード感、疾走感、迫力が出ているのである。
ー ダンクシュートの迫力、三井の3ポイントシュートを放った時のボールの軌道の美しさ、そして、”スパッ”とゴールに入った時の爽快さ・・。-
<今作の脚本、監督を、原作漫画を書かれた井上雄彦氏が担当されている事にも、着目したい。原作のストーリー展開の面白さは、周知の事実だが、まさかここまで面白いアニメーション作品に仕上げてくるとは、感嘆の想いである。
才人とは、井上氏のような人を言うのであろうなあ。
今作は、大変に面白きバスケット映画であり、宮城リョータ一家、一度は挫折した三井寿、先輩から疎まれていた赤木剛則達、湘北高校バスケットボール部の選手たちの心の再生の物語なのである。>
■桜木花道、流川楓という、原作では2枚看板の選手を比較的、脇に持って行った井上氏の”勇気ある脚本”にも、敬意を表したい作品である。
<2023.1.26 公開後、数回鑑賞して、初見時には気付かなかった事を追記する。>
2022最高作品
まずは井上監督、そのスタッフの方々に感謝したいです、素晴らしいの一言
原作に忠実に再現して欲しかったという方々は観ないほうがいいです。
まずアニメーションの技術が素晴らしすぎる、バスケをアニメで再現してここまで感動するとは思わなかった、想像の倍いってました。
山王戦が舞台ですがオリジナル要素かなり追加しています、なので原作はかなりカットしています。
宮城でここまで泣かされるとは思いませんでした、開始5分で既に号泣していました。
編集も素晴らしいです、あっという間の2時間です、ちなみに満席でしたが誰もトイレいきませんでした、笑笑
スラムダンク知らない若い世代の方々には是非観に行ってほしい、そしてここから原作を読んでほしい。
原作を知っているスラムダンクファンの方々は井上先生が何を表現したかったか、また原作のスラムダンク山王戦とは一味違う作品なので是非観てください。
いやー素晴らしかった。。
号泣し過ぎました〜宮城〜なんだよあれは〜涙
ありがとうございました。
新しい表現のSLAM DUNK
ジャンプ掲載時は大学から社会人の何年目かまで。
連載終了後も何度も読み返し、その後はYouTubeでも何度も見返し。。。
100回は見ていると思う。(特に山王戦)
今回、あらすじ公開されず、声優が総入れ替えで、違うところで
話題になってしまいましたが、もともとアニメはあまり見ていなかったので
気にならず、問題なし。
ただ、前半戦の描写がすくなかったのは残念かな。
自信をつけたのはまるおではなく、花道だった、とか。
後半も板前さんの登場に期待したけど、違う形で表現されちゃったし、
背中を痛めた後の晴子さんへの告白?もなかったような。
流川からのラストパス前のささやき、あの名言も、練習シーンで聞かれた
だけだった気がする。
いつもなら、後半の湘北反撃開始から、一気にボルテージが上がるところ、
試合の途中、途中にいろいろなエビソードが挟み込まれるスタイルのため、
盛り上がってはトーンダウン、ということを繰り返していた。
それでもSLAM DUNKはすごかった。面白かった。
まあ、原作があれだけすごい展開、ストーリーなのだから当然。
それに、3DのCGを駆使し、スムーズに動く、選手たち。
実際の山王戦、こんなスピーディな感じで試合が流れていくのか、と感じた。
ところで、タイトルの「FIRST」の意味合いは公表されたのだろうか。
涙腺崩壊!歴史に名を刻む監督井上雄彦の最高傑作!
山王戦が本物のバスケの動きで完全再現されており、冒頭リョータと花道の奇襲、ミッチーの3連続3ポイント、試合後半のゾーンプレスからの宮城の突破、花道のリバウンド、三井の連続3ポイントでの追い上げ、エース沢北の本気、流川の布石からの高速ドライブ、桜木の怪我からの断固勝つプレイ、そしてラスト8秒最後の攻撃…。
その動きに音楽も加わり終始泣きっぱなしでした。マスクがびちゃびちゃになるのでハンカチ持参することをオススメします。
また、ギャグも各シーンの端々でさりげに入れられており、ファン心が分かってるなぁと嬉しくなりました。
丸男のくだりが無かったり、魚住のかつらむき、晴子さんへの告白シーンがなかったりしますが限られた尺のなかで演出上しかたがないことかなと思います。
今回は宮城が主人公でしたし、井上さんはスラムダンクをまだ見ていない人でも楽しめることも主軸に置いていたので、花道のこれまでの回想からの晴子さんへの告白シーンはカットしたのではないかと考えれば納得できるかなと思います。
てか、山王戦の名シーンはありすぎるんですよね。逆に名シーンを詰め込めるだけ詰め込んでもらえて私は感謝しかありません。
逆に新たに追加されたエピソードとしては、ミッチーの中学生時代が加わってます!中坊のミッチーの顔がめちゃくちゃかわいいので必見です。グレる前なのでピュアな目をしているのでしょう。 そこも書き分けられていて流石井上さんだなと思いました。
宮城のオリジナルストーリーは短編マンガ「ピアス」がベースになっており、兄を亡くしたリョータの悲しみ、リョータのバイク事故の経緯など、リョータが深く描かれます。
声優に関して、個人的に花道の声が不安だったのですが、ちゃんと花道の声になってました!アニメの声とはもちろん違うのですが、アニメは誇張版。映画はナチュラル版。
よってそのままの声優ではダメだったと井上さんが語られていて納得です。 どっちも違ってどっちも良いということで新しいスラムダンクを楽しめばいいのではないでしょうか。
最後に、井上さんは監督として映画制作の全てに携わってスラムダンクの映画化に挑んだ。井上さんが監督と脚本もしてくれて本当に良かったです。また、映画に携わられた全ての方に感謝です。素晴らしい作品を作っていただきありがとうございました。
タイトルなし(ネタバレ)
メインキャラの声に違和感はあったけど割とすぐ慣れた。リョータをフューチャーしていたということもあってか映画のストーリの内容を色んなサイト等でほぼ公開せずにしたのも結果的には良かったのかも。ファンが見たかったであろう山王戦を見れたのは本当に良かった。しかし前評判がとてつもなく悪かったから各サイトのレビューも3を割ると思ってたけど思いのほか反応は良さそう
見てきました
バスケの動きのこだわりだけはすごい。NBAを見ているよう。井上先生のこだわりを感じる。
内容は正直くそ。
原作ストーリー回想共にカットだらけ。新規回想メイン。あれで感動したとか言うやつわけわからん。
何層向けかわからん。新規は置いてきぼり。ど世代には物足りず。
元々原作が120点なんだから、色々やらかして60点に収まった作品て感じ。側だけはカッコいい。
見に行って良かったところは新たに動いてるスラムダンクを見れたところだけ。
桜木やっぱ声違和感。
安西先生もかなり違和感。
あやこさん超絶美人。
泥にまみれろ、今度は嘘じゃないっす、
天才ですからもオールカット。かっこよくバスケしてるだけ。
これじゃない!
原作をリアルタイムで読みバスケ部に入った勢です。
期待してたのはこれだったのか
と問われると、これではない。
でも、何回も涙した。
スタートで両校のスタメンが登場するだけで
高ぶる気持ちが押さえきれない。
原作では確かに、宮城にフォーカスされる場面は少なかったので、ピアスの伏線も回収しつつ、原作と合わせて見たい映画に仕上がっていると思いました。
原作ファンにこそわかる仕掛けが各所に盛り込まれており、楽しい、嬉しい!そして感動。
最後の円陣で、赤木が宮城にかけ声を任せたとき、赤木が宮城に託した気がして、涙が溢れました。
宮城目線のためかカットされてしまった数々の名場面はちょっと残念でしたけど、原作で読んだからいいでしょってことかな。
映画で初めてスラムダンクに触れた方は、是非原作も読んでいただきたい。
「負けたことがあるというのが、いつか大きな財産になる」
という堂本監督の言葉は、湘北を敗者にした海南、湘北にとって忘れられない敗者である陵南があってこそ、さらに深みを増すのだと思います。
最後に、井上先生はじめ関係者の皆さん、この時代に新しい視点で、僕らの青春であるスラムダンクを見れる喜びを感じさせてくれてありがとうございます。
そして知っていて欲しい。原作あのままの山王戦だったとしても、その度に心震え、涙し、歓喜するファンがたくさんいることを。
大好きです。今度は嘘じゃないっす。
初めて越えられた。
世代的には周りがみんなアニメを観ていた感じで、勧められて何度か観てみたことがある。
しかし何故か、面白いと思っているのにいつも途中で寝てしまう、謎の壁をようやく初めて越えられました。
声優変更発表時、古参のファンは激怒していたり色々ありましたが、私みたいなフラット目線で観る新参者には、2時間はちょうど良くて、控えめに言って、バカクソ面白かったです。
家族の死や思春期特有の意味不明に反発しあう同年代の感じ、友達じゃないけど仲間として成立するチームメイト各々の弱さや強くなっていく様、一目惚れとか、内心バクバクとか、散りばめ方がとってもバランス良くて、ずっと楽しめました。
個人的にはお母さんにもっと強くあって欲しかったですが、夫と長男を短期間で亡くして、仕方なかったんだろうなぁ…。
あと、山王のイケメンが素敵でした。
スラダンの舞台、神奈川県は我が故郷。
沖縄の海と湘南の海、ちゃんと違う描かれ方で、海だけでどっちなのか分かったの感激でした。
スローや静音、アニメーターと音楽担当の方は素晴らしいお仕事されましたね。最高でした。
もう一度、アニメにも挑戦してみようと思う。
ジブリ・Pixarでさえ見た事がない世界初の映像
個人評価:4.2
あの5人が再び動き出す。まずはその感動を全身に浴びる。そして原作者だからこそ出来る仕上がり。
バガボンド、リアルを経た今だからこそ出来るストーリー。あのスラムダンクから、さらに先に進んだ新たなスラムダンクと言えよう。
試合の場面によって、違った手法で描いているが、そのいくつかの描写と迫力は、ジブリやPixarでさえ見た事がない、世界初の映像があったと言っても過言ではない。
ファンであるが故に、原作との違いや、残念な部分を減点法で答え合わせして見てしまう自分もいたが、そんなものはすぐに吹き飛ばすくらい物語に入り込んだ。
井上監督。26年前に僕達に与えてくれたあの感動を、再び現代に甦らしてくれてありがとう。
面白かったー
予告で見るか迷ってたけど、評判が良かったので鑑賞。
予告で見てたCGとかは通しで見てるとあんまり気にならなかったかなー、と
アニメも世代じゃないから見てないのもあって声優交代はそんなに気にならなかった。
原作でない、シーン盛りだくさん。
そりゃ原作者が監督じゃなきゃやっちゃダメよ、こんなの。
個人的には音の表現めっちゃすごかった。
試合のシーンはもちろん、海のシーンとかの表現がいいよね。
ラストの無音は痺れたー。
リョータのバックボーンそんなのだったなんて知らないのもあって、やられたー!ってなりました。
井上先生がインタビューで言ってたけど、等身大のバスケ部感が強調されてて良かったなー。
個人的には桜木流川が軸のスラムダンクも見たいけど、これはこれでめっちゃ良かった!
10feetの音楽めっちゃいいよね。
あの、メロがかかるだけでテンション上がるわー。
歴史もある作品で、色んな自分が青春を捧げた作品だから、賛否両論は勿論あると思うけど俺は楽しめたかなー。
試合の展開知ってても、めっちゃワクワクしながら見れました。
こんな雰囲気で、各選手の視点の山王戦とかやったら面白いんかな。
陵南戦とか。
あと、左手は添えるだけのとこ無音にしてたのめっちゃ良かった。
96/100
ネタバレありです
最高でした。
とんでもなく不安でしたが観て良かった。
できるだけ情報が入らないように、情報を遮断して映画館に臨みました。人に何かを話される前に観に行けて本当に良かった。
上映中、7、8回は泣きました。レビューを書いているこの瞬間もなぜか涙が出てきます笑
自分は来月41歳になります。
ジャンプでタイムリーに読んでいて、スラムダンクでバスケを中学から始め、大学までやりました。
中高時代は毎日毎日読んでたので、人生で1番読み返したマンガです。200回は読んでると思います。
ジャンプで、毎週毎週どうなるのかわからないハラハラしたことや、友達と予想し合ったこと、何度もマンガをイメージして練習したこととか、様々な記憶が映像化されることで蘇ってしまいどうにも涙を止められなかった。
ほぼ全てのシーンで涙が出ました笑
原作をオマージュされていて、新要素も最少で良かった。これならこれからも好きでい続けられます。
宮城主人公は、山王戦なら確かにそうなりますね。
必然でした。
ラスト3分の、Wチーム抜く左フェイクからの中央突破とか、重心低く前に出すドリブルとかめちゃ練習してました。映像で見るとやっぱカッコいいな〜とか思い出して感動しました。
最後はIH後2年後なんですかね?
湘北でキャプテンやってるはずやし。
でも沢北は来て間もない感じで話してたような。
同年代の人は共感いただけるのではと思います。
映画的表現とは何かを問いかける良作
ジャンプリアタイ世代で当時熱狂的に読み、コミックコンプリートしているファンです。
ストーリーについて、宮城を主軸にしたことに驚いたが、確かに原作では山王戦のキーマン宮城については余白が大きかったことに気付く。
宮城家にまつわる悲しい出来事はありがちなアングルではあるが比較的ライトだった宮城リョータというキャラの山王戦における覚悟や成長に深みを与える良い切り口だったと思う。
この視点で考えると今後桜木や流川、彩子や晴子というあまり過去が描かれていない主要キャラクターの深掘りが用意されているのかも?とDisneyスターウォーズドラマの戦略が想起されやや不安になる。ファンにとって公式がキャラクターの余白を埋めるというのは喜びにも絶望にもなる諸刃の剣なのだ。
バスケ描写の徹底的なリアル化には感涙もの。流川や沢北のダブルクラッチは脳内で何度も再生していた動きとバッチり合致していて「コレこそがオレたちが見たかったスラムダンクだっ!」と心躍った。また、登場人物の内面の吐露セリフと最近の日本の映像表現にありがちな説明セリフを徹底的にカットしたのは井上雄彦の正しい判断だと思う。リアル路線では当然晴子や桜木軍団はコートサイドに乱入してこないし魚住は包丁持ってコートに侵入しない。そして「ヤマオーはオレが倒す by天才桜木」の荒唐無稽さが際立つ効果も高まる。際立たせるべきは「大好きです。今度はウソじゃないっす」であるという議論はさて置き、リアリティラインがブレないことこそが映画のミソなのだ。
加えて、大胆なエモいセリフの全カットは映画的表現とちゃんと向き合う覚悟であり好感。そりゃ私だって「このチームは最高だ」を聞いたら涙腺緩むだろう。が、映画はセリフで伝えるのではない。映像で伝えるものなのだ。映像とは空の雲、風に揺れる草木、海原の波飛沫。そして登場人物の表情であり、息づかいであり、瞳孔の拡縮なのだ。心情の示唆さえあれば勝手に脳内補完してしまう熱狂的ファンに依存した演出なのは確かで、大切なシーンが予備知識のない初見者には薄っぺらなシーンになってしまう点が許せない人達がいることは否定できないが、それも製作側の確信犯だろう。ファンと初見者の二兎を追うべきではない。
敢えて苦言を呈すのなら宮城・三井の少年時代のエピソード加筆。このせいで三井と宮城の関係が不可思議なものに変わってしまった。ファンに向けた作品でファンにパラレルワールドを植え付けるべきではない。あと、あまり言いたくはないが花道の声への大きな違和感が拭い去れない。試合終盤の花道の「返せ」というセリフが浮きまくってサブくなってしまっていたのが残念だった。
「あのシーンがない」「あのエモいセリフが切られている!」といった批判もあるようだが、映画的表現にこだわった実に井上雄彦らしい演出だと思うので私は完全肯定したい。
二兎を追うものは一兎も得ず。
現状では間口が広くて奥が深い誰からも愛される作品を作れるのは地球上には天才集団マーベルスタジオしか存在しない訳だし、本作は一兎をキチンと見据えて作った素晴らしい映画です。
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